Un bel funerale
□4:esecuzione
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部屋に戻って扉を閉め切り、動きやすい格好に着替えておく。ここに来た時に着ていた制服はネズミづくりに布を拝借したのでもう着れない。兄貴に用意していただいた服に腕を通す。ゲン担ぎのためっていうか、ジンクスがどうっていうか、新品なのだけれど。襟袖にゆとりのある橙色のシャツ。スリムなシルエットの紺色のパンツ。服は素晴らしいんだけど、私が着ると顔負けしないだろうか。やめよう、へこんじゃう。
「あとはその時まで待つだけ、……っていうのがもどかしいなあ」
軽くストレッチをしながらただじっと静かな部屋で待ち続けた。
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「『ブドウ畑』だッ! 東南40kmほどの『ブドウ畑』から来たなッ!」
ホルマジオは勝ち誇った顔で言った。「ボスの娘はそこにいるのか」と。体のいたるところから流血しながらも、勝利を確信した彼にとってまったく問題はなかった。自信からか優越感からか、笑いが止まらない。
「間抜け」なナランチャに対して感謝さえした。その時だった。
『──下がってホルマジオ! 給油口から離れろっ!!』
「?!」
女の声が聞こえた。それもごく近くから、特に左ポケットのあたりから。そこには名無しから借り受けた“お守り”が入っている。
「な、なんだッ?!」
『モタモタしないで馬鹿! 車に近づくなぁぁっ!!』
はっとしたホルマジオが見るとそこには、だんだん強い炎を巻き上げていくナランチャの車が見えた。慌てて飛びのくが、その瞬間引火したガソリンが噴出し、彼の体は炎に呑まれた。
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