Un bel funerale
□5:comportamento
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よっしゃ、と気合を入れて名無しが部屋を出ると、プロシュートとペッシが出ていこうというところだった。
「うあああああ! ちょ、待ってください! 待って!」
慌てて後を追いかける。足がもつれて転びそうになったのを踏ん張って兄貴の前にならう。当の兄貴はというと、険しい面持ちでこちらを見下ろしていた。
本当はここまで危険な賭けはしたくないけれど、こればかりはどうしようもない。物音を聞き分けて指示を出していくのはそろそろ無理があるし、資材が尽きてしまっているから。
「お願いがあります。私も、一緒に行かせてほしいんです」
「一緒にだと? ハン! 冗談にすらなっちゃあいねーな。名無しよォ、一体なにを考えてるんだか知ったこっちゃねーがな、ただの一般人のマンモーナが出しゃばってくんじゃあねえ。所詮テメーは部外者なんだ。すっこんでろ」
全くの正論にひるんでしまう。きっと、というか絶対に何を言っても拒絶されるだろうことは容易に想像がついた。だけどここで「はいそうですか」と引き下がるわけにもいかない。真正面からぶつかってもダメならもう黙ってついていくしかないけれど、そうしたら命の保証はない。まあどの道、私が生きていける保証なんてどこにもないのだから、最後はやりたいことをやりたい。
自分の意思を伝えなければと息を吸い込んだ時、思わぬところから援護が飛んだ。
「行かせてやれ」
思わず声のほうを振り返ると、そこにはリーダーが立っていた。
どうして私をフォローするようなことを言ったのだろうか。以前私が言ったことを信じてくれているのだろうか。なんにせようれしいことではあった。けど、兄貴はきっと納得しない。
「何故だ? スタンドも持ってねえ、戦闘経験もねえ、それどころか素性も知れねえ! そんなガキを同行させて俺たちに何の得があるんだ、え? リゾットよぉ」
「……そうだな」
リーダーは考え込むように少しだけ黙った後、チラリとこちらを見た。
「確かに、得にはならないかもしれない。だが同行させなければ後悔することになるだろう。いいや、そんな時間もないかもしれないが」
「……チッ」
リーダーの言い方は要領を得ない。兄貴も納得はしていないみたいだけど、私の同行はしぶしぶながらも了承したようで「さっさと行くぞ」と残して行ってしまった。
「リーダー、ありがとうございます」
「ああ」
「……いってきます」
返事は聞かないように、踵を返して2人の背中を追う。低く呟かれた「必ず帰れ」の声が耳にしみ込んだ。
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