せいしんせかい。

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「君はディオ・ブランドーだね」

「そういう君はジョナサン・ジョースター」


 ディオは軽く挨拶を済ませると、ざっと屋敷を眺めてみた。


──扉の前に突っ立っているあの女はいったい誰だ? ジョナサン・ジョースターは1人息子だったはずだが──

 いろいろと考え込んでいるうちに、視線に気づいたらしい女が駆け足でこちらに近づいてきていた。


「えっと、キミは、」

「……ディオだ。ディオ・ブランドー。君は?」

「ナナセ。えーと、これからよろしく?」


 首をかしげて曖昧にはにかんだナナセ。なんで疑問形なんだ。僕に聞くな、うっとうしい。
 ふざけたやつだが、こいつもジョースターの関係者なんだ。利用できるものは全部使ってやるさ。


***


 その場のノリと野次馬精神で挨拶しに来てしまった。しかしその甲斐はあったらしい。
 ホントにこの子人間なの? 美形過ぎない? この世界には美形しかいないわけ? なにそれ最高かよ。

 挨拶の時なんとなく怪訝な(嫌そうな?)顔をされたが何故だろうか。あまりにもひどすぎないか。
 塩対応がキツすぎてため息が出そうだ。

 そんな具合で傷心していると、後方から機嫌のよさそうな犬の鳴き声が聞こえた。ダニーだ。詳しくないから犬種は知らないけど、とにかく活発な大型犬。ここにお世話になってだいぶ経つし、そうでなかったとしても賢くて優しいことは知っている。しかし私はあいにく猫派であった。犬が嫌いなわけではないが、大きな犬はなんだか苦手で、駆けてくるダニーを見て思わず後ずさりしてしまった。うう、ごめんよ、私にはまだちょっと無理かもしれない……

 ダニー相手にいろいろマヒしていたのか、なんなのかはわからないが、この後に何が来るのか忘れていたせいで対処が遅れてしまった。
 気が付けば吹っ飛ばされて伸びている白黒の大型犬となにやら怒っている様子の男の子の姿が目に入っていた。


「……ん?!」

「ダ、ダニー! 何をするんだァーッ」


 グッと握りこぶしを作って睨みあうディオとジョナサン。どうしたらいいのかわからない。何を考えたらいいのかもわからなくなってきた。

 だから私は考えるのをやめた。





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