せいしんせかい。

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 ジョナサンをだましたようで申し訳ないが、私は勉強する気などさらさらなかった。それよりも優先すべき考え事があったからだ。
 私はいったいなぜここにいるのか。それを考えないと先には進めない……気がする。

 今のところ考えられる原因は3つ。それをさらさらと(読まれても支障がないように日本語で)書き連ねてみた。

@ 長い夢を見ている。
A すでに死んでしまっている。
B これは妄想だ。目を覚ませこのヤロウ。

 自分で書きながら思ったが、どれもこれもかなりめちゃくちゃだ。しかしまあ原因くらいは考えておく必要がある。

 まずB、これは絶対にない。妄想だとするなら、日本人の私が英国でスラスラ話せるのはわかる。ただそれなら文字の読み書きができないっていうのはどういうことなのか。それに妄想で生み出した産物に質量があるのか? あったら今頃、ナ○バやらアキハ○ラやらはヤバいことになるんじゃなかろうか?
 次だ、次。

 @もまあBと同じ理由でないとみていいだろう。それに夢ならもっと支離滅裂なはずだし、私に明晰夢は見れない。それに頬をつねったとき痛かった。
 はい、次。

 次というか最後、A……
 希望もクソもあったもんじゃない。お願いだから生きててほしい。それにAとするなら死因はなんだ、糖分の取りすぎか何かか? それはいやだ。

 頑張って考えてみればほかにも理由は思いつく。スタンド? それともビヨンド? でもそれはあくまで創造神である荒○飛呂彦が考え出した紙面上の設定で現実に持ち出すのはちょっと違う気がする。憧れるけどさあ!


「ぜんぜんわからない……やばい……」


 元現役JK(オタク)の語彙力では今の状況をどうしても表しきれない。
 もう@であってほしい。ファンタジーやメルヘンでもいいから死にたくない。

 はぁああ、とため息を吐いて何の気なしに窓の外を眺めた時、1台の馬車が屋敷の前に止まった。
 ハッとした私は紙を乱暴に服の隙間に押し込んでそこへ向かった。






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