そして鬼は人と成る

□零
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ほう、と一つ息をつく。白い息はあっという間に見えなくなった。

もう冬か、季節の移ろいは相変わらず早いな。気を抜けば置いて行かれてしまいそうだ。

自覚した瞬間に、自分を包む空気の温度が下がったような気がして肩を縮こませる。ん、そういえば星空がきれいに見えるような気がする。冬になっていたからか。人と会わないと時間の感覚がすっかり狂ってしまうな。

今日は特に行く当てもないけれど、歩いていればなにかに出会えるだろう。それが良いものか悪いものかはわからないけれど、それが生きるということだ。それが生き続けるということだ。

鬼として、永すぎる生を歩き続けるのにもとっくに慣れたろう?


「今日も月が綺麗だよ。もうすぐ満ちる頃だね」


今日もただ歩いていく。




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