短編

□似てるのに
2ページ/5ページ

「紀ちゃんだったかしら。事情を聞かせてくれる?」

私はとある旅館に保護された。

「…はい」

夢に出てくる人と同じ名を持つ少年がいるところに。



「麻倉っていう家が本当に存在して、あの人も全部私の妄想とかじゃないんですよね」

コックリ使いのたまおさんに確認する。落ち着いていて、美人な女将さん。


とにかく今は頭がぐちゃぐちゃになっていた。

夢は人の願望を表すと聞く。

あの人の顔は綺麗で、好青年という感じだった。


「ええ、そういうことになるわ」

「私は、あの人を好きだったっていうのも」

「1000年前の事実ね」

「私、が、なんで」

一度、私の元にハオと名乗る少年がやってきた。

少し違ったけれど、あの人を思い出させる目をしていた。

あの人の現世…って言ってももう死んでいるらしいけれど、それが今の姿らしい。


「偶然よ。あなたが麻倉家に出会ったのは偶然なの」

最もなことを言われ、更にどうしていいかわからなくなる。


私が言いたいことはひとつだ。


「だからって、もどきの側にいさせないでください」

見ていて胸が苦しくなるから。




私は初めてもどきに会ったとき、なぜかもどきに連れていかれそうになった。

そうすると花君が助けてくれて、私は逃げ出した。あの姿を見たくなかったから。


その後もう一度もどきと会った。モールでの騒ぎに巻き込まれてしまったのだ。
そして逃げようとすると、アルミさんに捕まった。



もどきは今、ハオ…様、に遣えていた花組さん達に襲われ(?)ている。

「…いい気味」

目の前にはご馳走。

「もどきなんて死んじゃえ」

そんな恨み言をぼやいて手を合わせる。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ