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□傷年償女
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僕はカイ、山口 解。
普通の学生、というわけでもないかな…?
理由は複数ある。
一つ目は…。
嫌がらせ。
僕はクラスからはみ出ている。
何時でもそう。
僕は無視されて気持ち悪がられてものを壊されて変な噂を流されて。
二つ目は……。
虐待。
僕は親からも良く思われていない。
といっても、産みの親二人が死んでしまったから、孤児院、新しい親の元へと行った。
最初は優しくしてもらっていたけど、病気にかかることが多くて、見放された感じ。
今思えば、嫌がらせを受けているのもいつも倒れていたからだろうなぁ。
免疫力がとても低いから。

僕はそんな状態だから、気が鬱っていたんだ。
これから、僕が死ぬ少し前の話をしよう。

昼休み。
僕は、校舎の影で踞っていた。
ご飯も、お金もないから。
ただ、少し先程の嫌がらせの恐怖で体が小刻みに震えていた。
いや、恐怖だけじゃなかったのかもしれない。

「ねぇ」
突然、声がかかる。
咄嗟に身構える。
「君、山口解だよね」
とても怖い。
「っ…ぅう……」
呼吸に交えて声にならない嗚咽が漏れる。
「ちょっと此方来て欲しいんだけど」
「キモいやつは、死んで欲しいんだ」
僕は勿論逃げ出したかったが、逆らうほどの神経の図太さは僕には持ち合わせてない。
泣く泣くその少女に従った。

もともと人気のない場所にいたのだが、さらに人気のない場所まで来た。
「ねぇ」
急に少女が立ち止まって話し掛ける。
「ひ、ひゃい…!な、何?」
「ごめんね」
「……………………え?」
少女は何やら急に謝り出す。
「私、本当はあなたと友達になりたいの」
「さっきのは見張りがいたから」
「う……そ……………?」
少女の反応に驚いている訳ではない。
見張りがいた、それに驚いた。
「信じてないでしょ?ごめんね、信じさせる技術なんて私にはないから」
「まずはお話ししてみない?緊張も誤解も溶けると思う」
「私は美園、蒼木 美園」
「っ…て、カイ!?」
気付けば涙がポロポロと出ていた。
とめどなく流れる涙は拭っても拭っても乾かなかった。
と、思ったら急に咳が出始める。
止まらない咳に混乱しながら、自分の体からごぽ、と嫌な音が出たのを聞いた。
次の瞬間、目の前が赤黒く染まる。
目の前のスカートを汚していく。
ダメ…止めないと……気持ち悪がられる…。
深く暗い闇へと堕ちていく…。
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