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□糞人間
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「ふぁあ…」
少女は可愛らしく欠伸をする。
そして鳴っていたアラームを止める。
「ピン…ピン…ありました」
青いバラのピンを桃色の髪につける。
ベッドから降りると、かなり傷だらけの制服に着替える。
制服のポッケから名札を出す。
「2−4 桜木 桃姫」

部屋のドアを開けて目の前に見える階段を下りる。
「桃ちゃん起きた!?ごめんあとちょっとでご飯できるから!」
「ええ、大丈夫です」
桜木 一姫。
桃姫の妹。
一姫は毎朝このように焦っているため、桃姫のことはのんびりと見ていられはしない。

「いってきますッ!!」
一姫は慌てて家を出る。
一姫の中学校は遠いところにあるため、早めにでなければいけない。
桃姫の高校は近いのでのんびりしていても問題はない。
桃姫はご飯を食べ終え、30分後に家を出た。

「うわキモッ」
学校へ入るなりそう言う人がいた。
「?何がです??」
「お前だよわかんねぇの?」
「何処がキモいんですか?」
「お前の全てがキモい」
「例えば?」
「うざい」
「そうですか…」
そう言って桃姫は教室へと向かった。

教室の席を見れば、花瓶の中で花が活けてあった。
「あら、きれいな花ですね、後ろにでも飾っておきましょうか」
と花瓶を後ろの棚に飾った。
鞄を下ろすと中身をごそごそと取り出す。
「あら?シャーペンが一本もないですね」
「あ、此処にありました」
ポッケの中からシャーペンを取り出した。
「確かこの前もらったペンですね〜」
そう言って周りの人をまた敵に回す。

「桜木、此処を読んでくれ」
先生は、まるで読めないだろ?と挑発するように桃姫を当てる。
「はい、『彼女はまるで氷のような冷たい瞳で少女を見据えた。』」
ぐちゃぐちゃな教科書を机に置いて席に座る。
周りから「どうして読めたんだ」と聞こえる。

「うわッやめろよ〜」
男子二名は桃姫に向けてお互いを押合いしている。
「あらあら、危ないですよー」
と桃姫は二人の肩に手を添える。
「うわあっきもおぉぉぉおッ」
一瞬何が起きたか解らなかった男子は桃姫に触られたことを理解すると、そう叫んで逃げていった。

「ねぇ桜木さん、これ運んでくれる?」
家庭科の調理実習中に少女は水が入ったボウルを運んでくれと言うのだ。
「いいですけど、それ…」
「熱湯ですよね?」
「熱湯を素手で持てなんて無理ですよ?」
「何を言ってるのかな?」
少女はたじろぐ。
「私、見てましたよ?貴方がそのボウルに熱湯を入れていたのを」
「そんなことやってn」
「ならそのボウルの中に安全に手を入れられますよね?」
桃姫は笑顔でそう言う。
真っ黒に見えるのは少女だけだろうか。
「うっ…もういいッどうせやりたくないからあてずっぽうでそんなこと言ってるんでしょ!?」
「私知らないッ」
「あらあら、勝手に自分で仕掛けてキレてらっしゃいますね…」
そう呟いてまた来ることの無い仕事を待ちながら(?)仕事をしている人を尻目に窓をのんびりと眺めていた。
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