let go

□let go 1
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「あ!テマリー!」
「名前!久しぶりだな」
「久しぶり!元気だった?」
「ああ、お陰様でな」

背筋をピンと伸ばし、木ノ葉隠れの里の正門へと向かってくるテマリを見つけ、名前はぶんぶんと手を振り声を掛けた。

「ごめんね、こっちまで来てもらって。疲れてない?」
「いや、私はなんともないよ。それに誘ったのは私の方だからな。時間を取ってくれてありがとう」
「ううん!こちらこそ誘ってくれてありがとう。温泉旅行すっごく楽しみにしてたよ」
「一泊とはいえ私も随分と楽しみにしてきた。温泉に入って、旨いものでも食べて日頃の任務の疲れを癒そう」
「そうだね!」

楽しそうに談笑する名前とテマリを見かけた門番の同僚達が微笑ましそうに視線を二人へ向けた。気を付けて行ってこいよ、楽しんでこいと声を掛けられると名前はくるりと同僚達の方へと向きを変えて行ってきますと笑顔を作った。
すると同僚の一人が眉尻を下げて申し訳なさそうに口を開く。

「砂のテマリさん。こいつのこと、なんとか面倒見てやってください。結構抜けてるところがあるんで」
「ああ、それは構わない。というか名前は木ノ葉の中でも手練れで有名じゃないか。何を心配する必要がある?」
「いや、それがそうでもないんですよ!まあ、任務の時なんかは別人みたいに気の強いところもあるんですがね。普段は案外ドジなところがあるもんで。この間なんて…」
「へえ、そうなのか?」
「ちょっ!先輩やめてくださいよ!テマリ、早く行こっ!」

名前が焦ったように二人の間に割り込んで会話を遮ると、じゃあ先輩行ってきますと言い放ちテマリの手を引いて里の外へと歩を進めた。
テマリがその様子を見て、なるほどと呟くが、その声は名前に届いたかどうかわからなかった。
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