空ハ青ク澄ンデ

□第五話
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「森鷗外に、アンタの云う「宇宙大元帥」殿に伝えろよ。アンタがお探しの「重力遣い」が気にかけている小僧は俺だ」

然う叫んだ後、梶井が目を見開いて俺の言葉に動揺している間に次の行動に移る。
『檸檬爆弾(レモネード)』を解除して、次の異能力を発動させる前にホーソーンとミッチェルに告げた。

「絶対に避難路を通るな、全滅を逃れたければな」

二人が動揺しているのを見て、舌打ちしながら俺は次の異能力名を叫んだ。

「早く行けよ!『月下獣』!」

異能力が発動し、真白な虎へと姿を変えた後、俺は梶井を攪乱(かくらん)させる為に船を梃子(てこ)みたいに上部を蹴って転覆させた。

其れから非常用避難路を通らない様に建築物(ビル)の壁伝いに人通りの多い方へ全速力で逃げた。
フィッツジェラルドの居場所を虎の嗅覚で逃げながら確認する。
人通りが多く、ポートマフィアの居ない所を狙って異能力を解除した。

「……ッ、大分……持ってかれたな……」

最初に見た書類「異能力について」の項目で、多数の異能力を使用すれば体力を大幅に消耗するとあった。

今迄、『天衣無縫』や『細雪』、『完全犯罪』程度の潜在能力を使って来た所為か、戦闘能力を使用した時の反動が大きい様だった。

街をふらふらと彷徨(さまよ)い、確認したフィッツジェラルドの元へと向かう。
体が重くて、鉛の様だった。ポートマフィアに追われてると分かっているのに、思う程足が動かない。

半ば引き摺る様に歩いていると、鞄から音がしている事に気付いた。音源は、鞄の中に何時の間にか入れられていた携帯だった。

重くて力があまり入らない手を必死に動かして通話を取る。

「……フィッツ、ジェラルド?」
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