Ψ難

□超能力少女
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 何の変哲もないPK学園。
 しいて言えば未だに中二病を患っている者、極度のバカやら…等のアクの強い生徒が多いことが特徴だ。

 始業式から一週間ほどたった今日、やたら教室が浮ついていた。比べるとすれば、中学校の修学旅行一週間前ぐらいの騒がしさと言えよう。 なんでも転入生が来るらしい。
 なんで始業式から一週間たったころという微妙な時期に来るのか甚だ疑問だが、来るようだ。
 おかげさまで今日はいつもよりも騒がしい。

(あ〜転入生か〜可愛い女の子だといいな〜)
(どんな女子でも照橋さん一筋だけどな……)
(転入生?私みたいな完璧美少女に釣り合うような男子だったら興味はあるかしら……?)
(あーイケメンな男子来ないかなー)

 なにを隠そう。超能力者である僕には心の声が筒抜けなのである。とくに何かイベントがあるたびに騒がしくなる。
 まぁ、そんな僕でも全く聞こえない人間が一人いるのだが

「よお相棒!転入生が来るらしいな!ラーメン屋に行こうぜ!」

 話の前後がおかしいバカ(燃堂)の心の声は全く聞こえない。バカだからなのだろうか。それと、いつ僕がお前の相棒になった。

「クックック……斉木、ダークリユニオンがここへ手下を送り込むようだ……ついにこの右手の力を開放するときが来たか」

 この中二病は海藤舜だ。右手の力を開放すると言っているが、普通に中二病なだけだ。

 また騒がしくなったと思ったらタイミングよくチャイムが鳴った。

「お前らも知っての通り、このクラスに転入生が来たぞ!仲良くしてやってくれよ!」

 先生に続くように転入生が入ってくる。普通の奴だといいのだが……

「苗字 名前です。えー……家の事情でこんな時期に転入することになってしまいましたが、よろしくお願いします。」

(女子きたああああ!!!)
(まぁそこそこ可愛いな)
(まぁ滅多に私みたいな完璧美少女はいないわね)

 ……妙だな

「あーじゃあ苗字は……空いてるからそ
この斉木の隣な」

 はい、と短く返事をして移動する。
 そして近くまで来てバチッと目が合った。
 苗字さんは一瞬軽く目を見開いたように見えた。が、何事もなかったかのように席について「えっと斉木さんだっけ……よろしく」

「あぁ、斉木楠雄だ。よろしく。」

 ……やはり妙だ。

 お互いに会釈して黒板を向いたが、僕の頭の中は違和感のことで一杯だった。

 ―苗字さんの思っていることが一切聞こえない

 もしかして彼女は第二の燃堂なのだろうか。
 いや、それだけじゃない。彼女は5秒以上視界に入れても人体模型にならなかったどころか、服も透視できなかった。おかしい……
 たとえ燃堂でもあっという間に人体模型になっているのに

 悶々と思考を巡らせていると隣からすっとノートの切れ端が渡された。

【話したいことがあるので、放課後に少し教室に残ってもらってもいいですか?】

 ちらっと視線を送ってくるので、了承の意味を込めて小さく頷いた。
 すると綻んだような小さな笑みが返ってきたが、表情筋だけでなく久々に人の顔としての笑みを見たわけだが、これは不整脈だな。ドキッとした気がしたがこれは不整脈だ。
 ……そうだ。別に高鳴ってなんかいない。これはアレだ。いつも食べているコーヒーゼリーよりすこし高めのコーヒーゼリーを食べて感動したのと似たようなものだ。なるほど。それに違いない。
 しかし転入早々話したいこととは何だろうか……いや、まさかな

 などと考えている間に放課後になっていた。
 今日は騒がしい一日だった。もう、散々だ。

「ねぇねぇ苗字さんって前はどこに住んでいたの?」
「えっと……〇×県」
「えーすっごい遠くから来たんだね!」

「初めまして名前ちゃん!私は照橋心美です。よろしくね!」
(この世界一可愛い私の名前はきっちり覚えさせなきゃいけないわ……)
(わぁ照橋さん……かわいいなぁ)
(今日も麗しい……)
「「「おっふ!!」」」

「よお転校生!俺っち燃堂力っつーんだ!よろしくな!」
(うっわ〜…燃堂がきたぜ…帰ろ帰ろ……)
(あー萎えたわ〜空気読めよ)
「燃堂さん、うん。よろしく」
「隣にいる相棒は相棒だ!気軽に呼んでくれて構わないぞ!お?」
「うん。分かった、よろしくね……相棒?」
「隣の斉木だぞ!俺っちと相棒とチビとで帰りにいつもラーメン食ってんだ!」
「へぇ〜仲いいんだね!」
「おうよ!そうだ、今日もラーメン食べに行くんだ。転校生も一緒にどうだ?お?」
「う〜ん……ぜひご一緒したいんだけど……明日いいかな?」
「おう!俺っちが認めたんだ!いいぞ!」
「おい貴様!さっき俺のことチビと言ったな!この漆黒の翼をチビ呼ばわりとはいい度胸だな……」
「えっと……あなたは?」
「俺は海藤舜……というのは仮の姿で(キーンコーンカーンコーン)
「あーチャイムなってしまったので……えっと、よろしくね、海藤さん」
「……ッフ」
「また後でな〜!」

 苗字さんの席の周りに人があつまり、僕の席の周りにも人が集まるといった感じで、昼休みなどの休み時間はなかなかに騒々しかった。燃堂とも会話ができるから、やはり第二の燃堂なのだろうか?
 さて、放課後に少し残るんだったか……僕は僕で確かめたいことがあるが……

「おっ!相棒!ラーメン食べに行こうぜ!」

「ダークリユニオンの刺客は別にいるようだ……探しに行こう」

 ……さて、どうするかな

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