短編集
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「ちょ、先輩、<仮にも>ってなんですか!」
「一応って意味です」
「れっきとした女ですよッッ!
てか先輩カッコイイ!!」
「ホントに忙しいひとです、ねっ!」
「ぅギャッ!!!」
アレンは男をそのまま背負投し、芝生に倒した。
「体育サボってロッカーこ探ししてるから技も習得できないんでしょ、」
冷ややかに男を見下ろしたアレン。
その視線に、彼もびくりとした。
ストーカー的思想>論理*恋は盲目
「…………………っ、……」
視線を外し、隣に放られた袋を睨みつけて、忌々しげに呟く。
「…………………から、」
「はい?」
今度は、アレンを真っ直ぐ睨んで吐き捨てた。
「お前が……ッッ!
リナリーさんとイチャイチャしてっからだよッッ!!!」
「「………………………………、……………。」」
その場に沈黙がおりた。
顔を赤らめる男、青くするレイ。
そして、
「……………………はぁ。」
ため息をつくアレン。
「……君、B組の武田さんですよね」
「はぁ?何で知ってんだよ……」
やっぱりか。
そう言わんばかりに、アレンは呆れ返ったような目で彼を見つめた。
「僕が最近、リナリーと話してるのは、相談を受けてたからです、」
「相談…………?」
レイがアレンの背後から声を出す。
ふと、移動教室前のシーンを思い出した。
「毎日手紙を送られてて、困ってる、って言ってましたよ。」
「「!!!」」
手紙にはいつも、B組 武田と記されていたとまで語ったアレン。
リナリーさんが困っていたなんて、と顔面蒼白になっていく例の武田は、座り込んだまま俯いた。
「…………でも、
___気持ちは嬉しい、とも言ってましたね。」
「!!」
慌てて武田が顔を上げれば、ちょっとだけ穏やかな顔をしたアレンが見下ろしていた。
「好意は嬉しいけど、誰だって迷惑なのは望んでないよ、
特にストーカーなんてのは。」
「ギクッ。」
背は向けているけど、絶対アレンは自分を言ってるとレイは悟った。
「まあ正直いって僕も困ってますねぇ。
ストーカーには」
「う"っ!!!」
「未だに好意なのか悪意なのか分からないし。」
「…………。」
「でも、まあ、」
「恋は盲目、なんても言いますしね。」
背後にいても、彼がほんの少し、笑ったのが分かった。
いつもの帰り道でも、この背中しか見えていなくて、寂しい思いもしていた。
だけど、今日、先輩の気持ちも少しは分かった気がします________。
「…………あぁ。
オレも……悪かった______」
立ち上がった武田は、袋を掴んでアレンに渡した。
清々しい顔をしていた。
「ていうか君が全部悪いんですけどね」
「!?」
「先輩、止めたげてくださいよ!
タケダさんも泣いちゃいますって!」
「泣かねぇよ!ワン子!」
「ワン子ってなんですかワン子って!!」
「はは、似合うんじゃないですか?
犬っぽいから。」
「私犬アレルギーなんですよ」
「「え、まじで?」」
恋はハリケーンでもある!
(「何だかんだ先輩優しいですよね!」)
(「目がおかしいですよ、眼科行ってきてください」)
(「だって先輩が、恋は盲目って」)
(「君の場合ハリケーンですから」)
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