短編集
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「たまには、放課後残るのもいいですねっ!」
「僕は今最悪な気分ですけどね」
また、いつものように放課後のチャイムが鳴り、多くの生徒が行き交う学校。
そんな中、早く帰りたいアレンと、出来ればまだ一緒がいいレイが、何故か一緒にいた。
「レイちゃーん!
制服探しがんばるさ〜っ!」
「ラビ先輩っ!はいっ!」
「……………………。」
ラビが教室から出てきて、今帰ろうとする風貌で声を掛けてくる。
しかし妙にレイと仲良しげで、アレンは何で仲良く出来るんだとじとっと見ていた。
その視線に気付いたラビが、アレンを見てニヤっと笑った。
何だかそれにイラッとしたアレン。
「…………早く彼女のトコ行ったげたらどうですか?
また家に連れ込む前に振られますよ。」
「それ言うなよアレン!!」
随分な仕返しだが、アレンは逆にニヤっと笑い返した。
ラビは、ちょっと前の彼女に降られたことをネタに持ち出せば何も言えなくなるのだ。
涙目になりながら走り去った彼の背を、アレンがまだジャージのまま笑って見送る。
ストーカー的思想>論理*ヒーローは遅れてくる
「うーん。先輩の教室にもないですねぇ」
「……帰らなくていいんですか?」
「はいっ!先輩の手助けしたいのでッッ!!」
この制服捜索に、嬉嬉として参加したのはやっぱりと言うべきかレイである。
それも適当な探し方じゃなくて、ちゃんと理にかなった丁寧な探し方だったので、アレンさえ感心したように見ていた。
「ロッカー間違えたとかありません?」
「え?……ぁ、ああ、
そんな事無いと思うんですけどねぇ。」
困ったように頭を搔くアレン。
ちょっとキュンとしつつ、レイはそれでもアレンが困らないように必死に見つけ出そうとする。
「!!!_____あれって、…………」
「……?どうしました……………レイ?」
次は男子更衣室をもう1度探そうということで、靴を履き替え外へ出た時。
レイは何かに目敏く気付き、駆け出した。
まだ下駄箱で履き替えてる途中だったアレンは、彼女に声を掛けるも間に合わなかった。
(なんなんだ……?)
「ちょっとそこの貴方ぁぁぁぁ!!」
「!!??」
もはや誰も居なくなった中庭に、ある男子生徒が走ってきた。
しかし、追いついたレイがガシッと肩を掴むと、驚いたようにこちらを見るその人。
「え、誰…………_____」
何の変哲もないただの男子だが、手には何か袋を抱えてて、それをレイは睨みつけた。
相手はネクタイの色からして、きっと2年生だろう。
そんな事関係ないとレイは叫んだ。
「それっ!!!アレン先輩のですよね!!!」
「!!!」
思いっきり言うと、びくりと肩を揺らしたので、もう確信的だな。
「なっ、何言ってんだよ……」
「その袋からアレン先輩の匂いします」
「はあっ!?」
やっぱりレイは犬だった。
しかし、2年生の男は逆上して声を荒らげる。
「何なんだよ1年がよッッ!
先輩の事に割り込んでんじゃねーよ!」
「先輩後輩関わらず、窃盗は犯罪ですっ!」
「うるせェッ!」
レイに腹が立った男が、殴りかかろうと右手を振り上げた。
ぱしっ、
「<仮にも>女性に暴力なんて頂けませんね……っ」
「!!」
「ぁ、アレン先輩…………ッッ」
覆いかぶさる影が、大きくレイを包み込み、彼女を守る。
男子生徒の右拳は、アレンの手に止められていた。
「くそ……っ!ウォーカー!!」
あぁ、ギリセーフ
((不審に思ってて追いかけて良かった……))
(襲われそうな彼女を見て、)
(焦って飛び出たヒーローだった。)
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