短編集
□初雪の降る頃、君に
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「あっ、初雪!」
ラビから、世界史についての講座を図書室で受けていると、ちらり。
視界の隅に何かがチラついて、ふと窓の外を見ると、白い結晶がはらはらと落ちていた。
この年1番の雪だ。
レイの声を聞いて、目を下にやっていたラビも窓に顔を向けた。
「おっ、今年は早いんさね。
去年はこの2週間後に降ったけど」
「……一昨年は?」
「2週間と3日後。」
「さすがブックマン次期後継者……」
そこまで記憶しているとは、恐るべし、ラビ。
「……あっ!!!」
「うおっ、なんだよ」
初雪にうずうずするレイを抑え、前の任務場所の地理を教えようとページをめくったとき。
不意にレイが驚かすものだから、こちらまでビックリしてしまった。
「私、アレンと約束したんだった!」
「は?えっ、ちょ、レイ!」
引き止める間もなく、レイは走っていった。
「……何なんさ……」
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