泣き虫DAYs
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「……ところで、セツはこれからどうするの?」
アレイスター城から離れ、事情説明する為に村へと足を向ける一行。
既に夜は明け、清廉の陽の光が、森の木々を明るく照らしていた。
先程まで、何も喋らずにただ黙々と道中を行く彼らだったが、このような空気が苦手なレイがおずおずと口を開いた。
「ん〜?……どうすっかねぇ。
俺の使命は無事果たせたワケだしな。」
「使命、ですか?」
何も知らないアレンたちは、不思議そうにセツを見つめた。
そういえば、彼らにはまだ話せていなかったのだ。
「……その、実はセツは。」
レイが、話し出そうとしたとき。
「チュッ、チュチュ!」
「「!!」」
セツのコートの中から、鳥が飛び出して来た。
これには一同が驚く。
「おわっ、何さ!?」
「鳥……?セツさんのですか?」
「あぁ。
___テイル、挨拶だ。」
彼がそう呟けば、次の瞬間、信じられぬ光景が三人の目に入った。
「___ハジメ、マシテ。
ワタシ、テイラー二。」
「「「うわぁあぁあッッ!!?」」」
なんと、鳥が話し出したのである。
「あっははははっ!!
その反応、最っ高!!」
セツは、さも愉快そうに大笑い。
それに対してレイが青ざめて言った。
「いやいや、私聞いてないんだけど!?」
「言ってないからね。」
レイは、テイラー二がイノセンスであることは直感していたのだが、まさか喋り出すとは思っていなかった。
「不思議な生き物である……。
この鳥は、捕らえたものであるか?」
「いんや?昔から、俺の家にいるんだ。」
さすが、食人花を飼育していただけあって、クロウリーは目を輝かせ興味津々のようだ。
そんなやり取りを見ていたラビたちは、未だ状況が理解出来ずに困惑していた。
「なっ、何なんさ……!?どゆこと!?
インコ……ではないよな…………。」
「レイは、何か知ってるんですか?」
「まぁ……。予感はしてたんだけど、
まさか話せるとは思ってなかったかな。」
「レイ、ワタシ、喋レル、予想外?」
テイラー二は、レイの肩に留まって首を傾げた。
その動作が可愛くて、思わずレイは目を輝かせる。
「かわいい〜……。」
頬を染めて、へにゃりと笑いかけるレイに、アレンとラビは顔を見合わせた。
「(……最初はロングにすんげぇ心残りあったのに、なんかショートも可愛く見えてくるんだけど。)」
「(最初っからラビのストライクゾーンは広範囲でしょ。)」
アレンが半目で貶すと、ラビは心外だと言うように膨れ面をした。
「___本題戻るとね、
セツも適合者かもしれないの。」
「「は?」」
レイは、飛び抜けた発言をした後、続きは自分で話せと言わんばかりにセツに注目した。
当の本人、セツが、呆れたように溜め息をついてから、詳しく弁明する。
アレンらには、これが予想外だったようで、思わず歩みを止めた。
セツの話が終わるまで、二人の目は見開きっぱなしであった。
まさかこの旅の途中に、二人ものエクソシストと出会えるとは予想していなかったのだ。
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