泣き虫DAYs
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「今日」は違うことが起きたわ
目の前の恐ろしい怪物が、その大きく生物らしさを感じさせない3本の指で私を固定する。
私、殺されそう?
確かこの後、私は馬車にドロ水かけられて家に帰って寝るハズなのよ
___何 この化物?___
「イノセンスはどこだ……?」
今日は「今日」じゃなかったの?
(私……)
「そのひとを放してください」
カツン、と、ブーツの音が静かだった空気に澄んで響く。
涙を流し、これは夢か現実かを必死に考え出す。
首に触れる無機質な手、恐ろしい化物、そして、新たに現れた人物。
「こんばんは AKUMA___」
奇妙なコートを羽織り、そのフードを深く被っている少年……?
窮地に立たされていた女性は、彼の真っ白な髪までは確認出来なかったものの、その左腕をみた。
またも、奇怪な武器の登場である。
ド……ン……ッ、!
いきなり目の前で戦闘が始まり、化物と少年の激しい攻防戦を、茫然と見ていた女性。
しかし、これは夢か現実か。
否、現実である。
「今日」の出来事がどんどん違ってく
繰り返される悪夢。
ほとほと嫌気が指していた「毎日」。
それが、今日。
(やった)
_私!「今日」から抜け出せたのね!!_
さっきまでの恐怖などどこへやら。
女性は「あははははッ!」と泣きながら、
全力疾走で路地から逃げ出した。
後ろで爆発が起き、それは今まであった「今日」が変化した事を表した。
そんな女性の後ろ姿、慌てて追いかける少年を街人は目撃した。
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