泣き虫DAYs
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不意に、動かなかった筈のコムリンが口を開けた。
<……レイ・フォーサイス……
怪我……ヲ……認識……____
頭蓋骨ヲ一部損傷.
治リ掛ケノ肩.
両手ノ親指ガ骨折.
胸骨二ヒビヲ確認.
鎖骨、右二ノ腕、横腹、両太腿二切リ傷……>
唖然とする人々。
服の中を透視したのかと胸の前で手を組み顔を赤く染めるレイ。
違った空気の中で、暫し沈黙が流れた。
「オイイィィィィィ!!!
レイ!!!」
「怪我ってどういう事だ!!!」
「てかそういえば前の任務で病院運ばれたって聞いたぞ!!!」
「「「「「なに無茶してんだ!!!」」」」」
「いっ、いやっ、無茶なんて……ハハ」
「そーだそーだ!レイちゃんはいっつも無茶するんだから〜。
コムリン。治してあげなさい」
コムリンが動いたことで、泣いていたコムイがすっかり元通りに。
悪気なく、そう言い放った。
<優先順位……変更……
レイ・フォーサイスノ集中治療ヲ行ウ!!
レベル段階、2二繰リ上ゲ……>
なにやらパワーアップするらしいコムリンが、目玉を赤に転換させ、10数本の腕を一斉に出してきた。
「……っ、避けてください!!!」
アレンの声が響き渡り、レイがハッとしたとき。
ぶすっ。
不吉な音が聞こえ、レイがパタリと倒れた。
「ギャーー!!レイ〜〜!!」
「ヤバいぞ!このままじゃ!!」
エレベーターの上で騒ぎ立てる化学班の横を、黒い影がさえぎった。
「今たすけます!!」
ここぞというとき頼れる男、アレンである。
だらんとするレイの腹に巻きついたコムリンの新しい腕。
そのまま例の治療室へ誘導しようとするが、アレンがそれを阻む。
<アレン・ウォーカー……
マトメテ治療スル!!!>
ぶすっ。
「アレンーーーッッ!!!」
レイを引っ張ることに夢中で、背後からの手に気付かなかったらしい。
本日2度目の麻酔ともなると、流石に体はこたえたようだった。
すぐさま滞る思考回路。
それでも、その手だけは離すまいと、
レイの白い手をしっかり握ったまま
2人は深い闇の底まで沈んでいった。
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