泣き虫DAYs

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「何だぁこれ?」


「ロード様ぁ、これ触ってみていいですかねー?」





半円球型のイノセンスの囲いの外には、アクマと考え込むロードがいた。

アクマが、イノセンスに触れようとした時、

中から突然衝撃がアクマを襲った。



ドンッ_______!!!





その"左腕”はアクマを切り裂いたあと、一直線にロードの元へ向かい、腰掛ける椅子を狙った。



「!?ろーとタマ!!」



ロードはリナリーと座っていた椅子から間一髪でとんで、治っていたアレンのイノセンスを見た。

左手は椅子ごとリナリーをガッと掴み、時計のイノセンスの中へ引き込んでいく。





レロの上に立ったロードは、呟いた。





「あいつの手……ケガが治ってた」
















「リナリー……」



レイが、アレンの掴み寄せてきたリナリーの前に座り込んで、外傷の確認や瞳孔の様子を見た。

脈も安定してるようだし、ちゃんと生きていた。





(あの音波系アクマの攻撃を深く受けて、神経がマヒしてるのか……?)



アレンは一緒に戦っていたから分かった。



レイは、脈を確認した時に掴んだリナリーの右手に、何か握ってるのを見た。





「アレンくん、レイちゃん……

リナリーちゃんは……?」



そわそわとするミランダ。
心配そうだ。



「……大丈夫。」

「この空間にいれば……!」



言葉通り、さっきのような時間の吸い出しが始まって、リナリーはその目を大きく開けた。





「あれ……私……?」


「「リナリー!」」





体が元に戻ると握られていた手は開かれる。



パッ__________ドスッ!!

「ふぎゃっ!!」



1番近くにいたレイの顔面に、握られていたティムは飛び込んだ。





「レイ!?大丈夫ですか!?」

「な、なんでティムそんな所から……」

「あ、アレンくんが倒れた時一緒に砕けちゃって、ずっとカケラを持ってたの……

って私どうしたの?ここどこ?」





鼻を赤くしたレイは、涙目になりつつも、リナリーの胸に飛び込んだ。





「きゃ、…………レイ?」





アレンたちは、その姿に微笑みながら優しくリナリーに説明する。



「僕たち、ミランダさんのイノセンスに助けられたんですよ」



まだぎゅ〜っとしてるレイを、ミランダ同様撫で撫でしながらリナリーは驚いたように目を見開いた。



「え?わ、私……?私が……??」



やっぱりというか、自分が発動したことに気づいてなかったミランダ。





「あなたが発動したこのイノセンスが、攻撃を受けた僕らの時間を吸い出してくれたんです。」



ぐるぐると過去へ遡る時計盤。
この時計が、皆の役に立てた……?





「ありがとう、ミランダさん!」





アレンの声に反応するように、レイも顔を上げ、ミランダに笑いかけた。





「ミランダ、ありがとう!!」




















気づいたら、涙が流れていた。




















___________………………



「このヤロぉ、出てきやがれぇっ!」



アクマが攻撃を仕掛けると、中から竜巻のようなものが発生した。





___円舞<霧風>!!!___





リナリーのダークブーツで、大きな竜巻がアクマを襲うと、そこから更に風の竜のようなものが出来て、大勢のアクマを薙ぎ倒していった。










「そういえばさぁ、この前の技名<風花>って言ったんだけど、<風花>って雪のことだったんだよね。」


「いや何でもいいですよそんなの……」


「よくないよ〜!あのアクマ私のこと馬鹿にしてないかなぁ。」


「もうレイが倒したんでしょうが……。」





突然、中から人影が現れ、その姿を見せる前に居なくなっていた。

会話は聞こえるのだが、どこかが正確に分からない。

強い風がアクマたちの視界を邪魔していたからだ。





「この風はさっき戦ったエクソシストのメスの……」

「ちくしょう何も見えねェ!!」





アクマたちが悪態をついているのを見ていたロードは、風を腕で避けながらも10数本の蝋燭を"アクマ”に刺した。





「……っ、ロード、様……?」



「僕のイヴのことぉ?それって」





深手を負ったアクマの姿をケラケラ笑いつつ、その目は怒気を孕んでいた。

<エクソシストのメス>呼ばわりが気に入らなかったようだ。





「だぁからぁ、イヴなんかじゃないってば」





刺されたアクマを一瞬で破壊したレイは、ロードに挑発的な浅緑の目を見せた。





「ふふ、そんなに嫌なのぉ?
仕方ないなぁ〜」





また笑顔に戻ったロードは、今度こそ名を呼んだ。





「レイ、心ゆくまで楽しんじゃってよぉ。」





「…………っ、」










「________レイ?」


「……は、何でもないよ。
リナリー」














アレンとレイは、傘に乗って上から見下ろすロードを睨み、一気に駆け出した。




























「「勝負だ、ロード」」


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