泣き虫DAYs
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___私がダメな理由……___
「あ!不幸女ミランダだ!!」
「近寄ったら不幸が移るぞー!!」
「こんな人形壊してやる!」
「ぎゃははははっ!」
「…………っグス、マリーちゃん…………
今、直してあげる……………______」
何やっても上手にできないくせに、
やろうとするトコロ
「もう明日から来なくていいから」
「ま、待ってください、」
「こんな役立たずな奴とは思わなかったよ」
<ミランダ ミランダ
不幸の女 ミランダ♪
モテない 暗い 鈍臭い♪
今日も仕事探し?
どうせまたすぐクビさ〜♪>
もうやらないと決めたくせに、未練がましくまたやろうとするトコロ
マリーちゃんの首を縫い付けたとき、不器用で何度も指を怪我した。
仕事で失敗したのも、これで106回目。
_____どうせ何もできないなら
やらなきゃいいのにね_____
(馬鹿よね…………_________)
ミランダの時計が大きな光をあげ、ミランダの周りを囲う。
「「……!!!」」
戦っていたレイも、それを見つめていたロードも、そして気を失いかけていたアレンも、
その光景に言葉を失った。
___……あら?何かしら……?___
___何かの存在を感じる___
ミランダは、暖かい力が自分を支えるのに気がついた。
振り返れば、そこには今まで大切にしてきた大事な時計が、何ともないように立っていたけれど。
___時計…………___
(イノセンス……?)
ミランダの危機を、この時計が救ってくれたのは、すぐに分かった。
もう1度力強い刻針の音が響き、時計は大きな時計盤の紋様へと姿を変えた。
3人のいる範囲まで光は包み込み、呆気にとらわれていたレイまで不思議な半円球にいた。
カチ、コチ、と時計の音は進み始める。
_____過去の時間へと。
「ミランダさん…………、」
「これは……!
イノセンスが発動した……?」
アレンの体から吸い出されていく過去の時間。
みるみるうちに無くなっていく怪我、数時間前までの元気な体へと遡っていったのだ。
カチ_______。
ひとつの音が鳴ると、既にアレンは無傷のまま起き上がった。
「!」
アレンは自分の手をまじまじと見つめ、ミランダは自分が発動したのに自分で驚いてるようだった。
そして、レイは_____。
「ぅわっ!?レイ!?」
アレンの体に勢いよく抱きつき、その温度を確かめた。
(……あったかい、生きてる……)
戦ってる間、ずっと気がかりだったのだ。
瀕死状態のアレンと、椅子に腰掛けたまま動かないリナリー。
自分が、遅れたせいだと分かっている。
だけど、ミランダが庇ってくれていたのをレイはちゃんと見た。
「ミランダ……!!!」
「わっ!レイちゃん……?」
2人に抱きついて、レイはようやく安心したような顔をした。
「良かった……っ!!!」
突然の抱擁にアレンは顔を赤らめ、ミランダも戸惑っていたようだったが、初めてみたレイの年相応の暖かさと小ささに、気付けば、頭を撫でていた。
「……よしっ!OK!」
ぱっ、と離れたレイの顔に、不安はもう無かった。
今度は、ふにゃりと笑って見せ、アレンとミランダは同時に頬を赤くした。
((可愛い……))
「やっぱり、ミランダは適合者だったね。
リナリーも、ここに来れば直るよ……!」
レイのいつも通りの声に、アレンもしっかりと頷いた。
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