泣き虫DAYs
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レイのイノセンス、グローヴ。
空中の気体、すなわちこの次元にある膨大なまでのエネルギーを自在に操ることができる、無限の可能性を秘めた手套である。
巧みな手業で使いこなし、空を移動する姿はまるで<妖精の狂舞>と呼ばれるほど。
そのスピードも、第一形態の得業である。
あれから連絡を受けたレイは、リーバーたちの悲痛な叫びに只事ではないと、グローヴを駆使して吹き抜けまで向かった。
……まではいい。
「うわ、なにこの状況」
「レイ!!!」
そこには、変わり果てた部屋の惨状。
騒ぐ化学班。
眠るリナリー。
泣き喚くコムイ。
そして、そのコムイを擬したようなドデカいロボットが、白髪の人間を取り込もうとしている様。
「やばい!!アレンが……!!」
「室長の吹き矢で……」
「リナリーがマッチョに……」
「減給されちまう……」
「……あの、要点を纏めて言ってくれます?」
何人も、伝えたいことを同時に伝えようとするから、頭がこんがらがる上意味が分からない。
(リナリーがマッチョの危機だとは分かった。)
ここで、頼れるリーバー班長が。
「あのロボットをぶっ壊してくれ!
レイ!!!」
聞くが早く。
コムイ似ロボの至近距離まで瞬速移動。
__ガキィィィ……ン……ッッ__
白髪少年に伸ばされていた手を、回し蹴りで切断した。
<____……ガッ、エくそシすト、
……レイ・フォーサイス……>
「ヤッターーー!!」
「よくやったレイ!!」
化学班、口々に賞賛の声。
何故か動かなくなったロボを後目に、項垂れていた少年を抱えて何歩か去がる。
「危機一髪だったね、白髪くん。」
まるで麻酔にやられたかのような少年に話しかけると、
「……しっ、しぁがふんっふぇ……」
「えっ、なに?」
呂律が回らないらしく、体もだらんとしていた。
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