青エク/治癒姫

□怨霊化
1ページ/3ページ





メフィストが鍵で繋げた場所はなぜか彩乃の自室で、示し合わせたようにアマイモンはそのままベッドに向かい、ルシフェルとメフィストも彩乃のベッドに腰掛けた
四人の体重を受け止めるベッドが流石に悲鳴を挙げるようにギシッと軋む

ベッドヘッドにアマイモンは寄りかかり、彩乃を背後から抱きしめる
彩乃はアマイモンを背凭れにしながら左右から迫るルシフェルとメフィストに青褪めた


『と、とりあえず…
お二人は何に怒ってらっしゃるんですか…?』


彩乃の言葉に僅かに目を見開くルシフェルと目を細めたメフィスト
二人は同時に溜め息を吐いた


「彩乃
兄上達を怒らせたいのですか?」

『そんなわけないです!
でもなんでこんなに怒ってるか全然…』


アマイモンにしっかりと腰に手を回されて逃げられない彩乃は穏便に話し合いをしたいのだ
だが二人が怒っている理由が分からない以上はどうしようもない


「私は止めたのに聞き入れず悪化させた彩乃に怒っています」


ルシフェルは彩乃の記憶を知っている
だが彩乃が学んでいた事は知っていても、学んだ内容を全て知っているわけではない
怨霊化した事は知っていても、それによってもたらされる代償の事は知らなかったのだ


「貴女は自分を蔑ろにし過ぎじゃありませんか?
自ら傷付ける事にあまりに抵抗が無さ過ぎますよ
屍番犬(ナベリウス)から襲われた時だって避けようともしなかった
いったい何を考えているんですか?」


さて…
この状況どうしようか
別に物体透過で逃げれない事も無いんだけど…

真っ直ぐ見つめるルシフェルとメフィストを目の前にしていても余裕がある彩乃に二人が気付かない訳もなく


「サマエル
いつも口付けて魔力を与えているのは知っていますが、お前はどうやって余分に魔力を与えているのですか?」

「普通に口移しですよ」

「ルシフェル兄上
唾液を飲ませれば良いんですよ」


ルシフェルに素っ気ないメフィストに変わって、アマイモンが教える
ルシフェルは成る程と頷き、彩乃の頬に手を添えた


『待って!
ルシフェルさん、あなたの体でわたしに魔力を補給しては負担がっ…んっ』


言い切らない内に遮るように口付けられる彩乃
アンバーバニラの香りと濃厚なバニラの味が彩乃を支配する

トロトロと唾液を注がれると同時に魔力を与えられる彩乃は必死にそれを飲み下して受け入れる
だが喰べ慣れないルシフェルの魔力はそれは濃厚で、弱った体に染み渡る感覚にゾクゾクとした甘い快楽を覚える
制限無く与えられる魔力に彩乃は焦りを覚えたが、その焦りも首筋に感じた舌を這う感触に遮られる


「では私は貴女の血を堪能させて頂きましょうか」


逃れたくても背後からアマイモンに
左右からルシフェルとメフィストに拘束された彩乃には不可能だった


「兄上ズルいです
ボクも彩乃の血を飲みたいです」

「ではお前には彩乃の治療をさせてやる
中々楽しい治療だぞ
だから今は我慢しろ」

「…?
分かりました」


治療の何が楽しいのだろうと首を傾げたが、とりあえず兄の言う事は聞いておこうとアマイモンは頷いた
それと同時にメフィストの牙が彩乃の首の皮に沈み込む
痛みに思わずメフィストとルシフェルの服を掴んでしまう彩乃にメフィストは目を細めた
だがそれよりも濃厚で甘い彩乃の血に酔いしれたいとメフィストは牙を抜いて傷口を啜る


『んぁ…ぁ…んんっ…』


魔力を与えられながら血を奪われる感覚に彩乃は頭がおかしくなりそうだった

ポロポロと涙を流しながらルシフェルの口付けを受ける彩乃は限界を感じてルシフェルの体を押すが、当たり前の様にビクともしないし動かない

仕方なく、我が物顔で口内に侵入してきてるルシフェルの舌を噛んだ

痛みは与えたく無かったが、それでも動けない程度に噛む彩乃にルシフェルは目を細めた







2017/06/02

次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ