青エク/治癒姫

□代償の傷
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ルシフェルの訪問から二日経ち、彩乃の傷も完治した頃
ルシフェルが連絡も寄越さずに突然熾天使(セラフィム)を従えて正十字学園にやって来ていた


「札の試作品が出来ました」


そう言って幾つかの札を見せるルシフェルに彩乃は驚き目を見開く


『早かったですね』

「イルミナティの研究員は優秀な者が多いですから
さっそく試して頂けますか?」


受け取ったは良いが、性能を試さなくては意味がない
だが彩乃は下級悪魔を傷付ける事は出来ない

ルシフェルは自分がと言うが、超上級悪魔で虚無界の最高権力者の彼には大物過ぎて試すのに向かない
でも相手が居ないと札の性能は試せない
ならどうするか?


「ネイガウスを呼びますか」


メフィストの言葉に札を持っていた彩乃の手に力が込められる


「腐の眷属、(グール)系の悪魔なら情も湧きづらいでしょう?
(グール)系の悪魔を従える彼を呼ぶのが一番得策だと思いますよ」

『…そうですね』


治療の礼も言わなければいけない

メフィストが彼を呼び出している間、彩乃は動きやすい服に着替えようと部屋に戻った
着替えながらも頭に浮かぶネイガウスの姿

サタンへの恨みを燐に向けた彼
悪魔を使役しながら悪魔の存在を否定する彼

彼はサタンの炎と似た色の目を持つわたしを
人間より悪魔に心を寄せるわたしをどう思うのだろうか

悪魔落ちした祓魔師の男の言葉が頭に横切る


-----悪魔と手を組んでるバケモノめっ-----

-----お前のようなバケモノは死ぬべきなんだ!!-----

-----死ぬまで害を為す害虫めガァァァアアア!-----

-----ゴロジデゴロジデやルゥぅぅぅぅうううう!!!!!-----


『…』


もし同じように
目の色だけで判断するような人間ならば…

ピシッ…







2017/05/29

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