青エク/治癒姫

□動物的な治療
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日付けが変わる頃
彩乃はメフィストの部屋で目が覚める

傷が癒え切った訳ではないが、夕方に目覚めた時よりも痛みが和らいでいたことに彩乃はメフィストから魔力を貰ったことを思い出した

まるで真綿で首を絞めるように
じわじわと蝕むように
メフィストの魔力に満たされ
その魔力に蝕まれ
意識を失った


『わたし…』


フィギュアやグッズなどが溢れ返っているメフィストの部屋に一人寝かされていた彩乃
フィギュアとはいえ無機物に囲まれた部屋で不安を感じた彩乃はベッドから降りて部屋を出ようとするが、ベッドから立ち上がろうとした瞬間、足の力が入らず崩れ落ちた

突然のことに驚愕し、困惑する彩乃
だが立ち上がることも出来ず、着ていた寝着の腹部辺りが血で滲み出した


『ぁ…』


鈍い痛みも感じ、まずいと思うも動けない彩乃にはどうする事も出来なかった


「彩乃?」


ぼんやりと血の滲む寝着を見つめていた彩乃は名前を呼ばれて顔を上げた


「血が…
傷口が開いたのですか?」


もう休むのか、浴衣に着替えているメフィストが彩乃へ近付いて床に膝をついた


「手当てをしなくては…」

『…っ』


ポタリ…

彩乃の目から涙がこぼれた
それを見てメフィストは目を見開く


「彩乃…?」

『ごめんなさ…
勝手に動いたせいで傷口が…
またメフィストさんに迷惑を掛けてしまって…』


ポロポロと涙をこぼす彩乃にメフィストは小さく笑みをこぼした


「迷惑だなんて思っていませんよ
むしろ私の方が感情に任せて酷い事を言った
そのせいで彩乃を酷く傷付けてしまった
何千年と生きている癖に大人気なかったですね
彩乃には申し訳ないことをしました」


涙を指で拭ってやりながらメフィストは彩乃に謝った
そして優しく瞼にキスを落とす

メフィストのキスに驚いて涙が止まる彩乃
あなたは悪くないと言いたいのに、謝られたことやキスされたせいで混乱し過ぎて言葉にならない
そんな彩乃にメフィストは笑みをこぼしながら傷に負担を掛けないように優しく抱き上げる


「とりあえず手当てを致しましょう
ネイガウスに対してああでしたし、私でよろしいですか?
一応全ての称号は持っていますし、知識はありますので治療は問題ないのですが…」

『お、お願い…します』

「喜んで」


ふわりと綺麗に微笑むメフィストは彩乃をベッドに寝かせ、指を鳴らして治療道具を出した







2017/05/24

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