青エク/治癒姫

□バケモノと悪魔落ち
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『ここ最近、下級悪魔が次々襲われていて被害が後を絶ちません
旧校舎に身を寄せてすぐの時も多くの被害を受けた悪魔を治療したことがあります
その時に手掛かりを見つけたんです』


そう言って彩乃は紙で折った折り鶴を手に持ってアマイモンに見せる


「これは?」

『代々伝わる呪術に使う札の紙で作ったものです
以前から少しずつ仕込んでいたもので、本来は術式を記して使うものなんですが折ったり切ったりして使えば式神になるんです
ちっちゃな使い魔のようなものです
悪魔達の傷口に残った気から犯人である祓魔師を辿るため、この紙に犯人の気を封じたんです』


人探しの術式なのだと言った彩乃は折り鶴を宙に放った
すると折り鶴はふわりと浮かび、どこかへ飛んで行く


『追いましょう』


折り鶴を追い掛ける彩乃はアマイモンが居なければ成功しなかったと言う
治療で消耗していた彩乃が式神や人探しの術を発動させる事が出来なかったのだ
アマイモンが補給した事により、術を行う事が出来た


「何故今なのですか?」

『…この方は恐らく怨霊化…こっちで言う悪魔落ちしかけているか、もしくはもう落ちてしまってるかもしれないからです』


彩乃はアマイモンに黒く染まっている札を見せた
それは犯人の気を封じたもので、天原に出掛ける前には真っ白だった
だが今は見る影もなく、紙は真っ黒に染まっていた
黒く染まっているのは、魂が蝕まれているためだ


『この方には時間が無いんです
この学園内で悪魔落ちの方が現れたらメフィストさんが疑われてしまいます
まだ落ち切っていないなら今祓えば間に合います』

「祓魔師なのに悪魔落ちですか…」


本来は祓う立場のものが堕ちるだなんてと言いたげな彼
だが彩乃は元の世界で術師が怨念に取り憑かれ、堕ちて生き霊になるのを嫌という程見てきた

生き霊は人々に害を為す怨霊と化してしまう事が殆どだ
力のある者ほど墜ちやすい
そういう者の方が影響を受けやすく、感じ取りやすいからだ
それを知っている彩乃には祓魔師が悪魔落ちすることに何も言えなかった







2017/05/18

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