青エク/治癒姫

□迫る猶予
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大分時間が経ち、彩乃は正十字学園へ戻ると言った

着物の羽織だけアマイモンの毛皮と共に天原の庭に置いて、品々物比礼を羽織らされて旧校舎に戻ってきた彩乃


『十種の神宝をなぜアマイモンさんが?』

「献上品の中から見つけました」


ハ候王ともなれば神として崇め讃える地もあるそうで、その地より送られる献上品の中に品々物比礼があったという


「彩乃にあげます
ボクにはあまり使い道がないので」


そんな簡単に寄越して良いのだろうか?
不安に思いながらも何かの役に立てるかもと受け取る彩乃
そして二人でここ三日間過ごしてきた教室に戻る

帰ってきた二人を下級悪魔たちが出迎えてくれた
彼らに礼を言いながら今日は例の祓魔師が現れていないか尋ねる


-今日はまだのようね-

「シュー-その方がいい-」


山魅(デックアルプ)(ナーガ)の言葉に他の下級悪魔も同意する
彩乃も皆が傷付かなければ…と思っていたため、それ以上は気にすることはなかった

彩乃が旧校舎に来てからあまり食べていないのに気付いた下級悪魔が木の実や果物を持ってきてくれて、アマイモンもばくだん焼きやお菓子を持って来たことで皆で食べることになった

その時、熾天使(セラフィム)がふわふわと飛んで訪れた


「ルシフェル兄上の眷属ですか」

『セラフィムさん、こんにちは』

-彩乃さま、アマイモンさまと仲直りできたなの!-

『はい、アマイモンさんが許して下さいました』


よかったよかったと大喜びする熾天使(セラフィム)に彩乃も笑顔を浮かべた


『今日はどうしたんですか?』

-彩乃さまのようすみと、サマエルさまにでんごんをつたえにきたの!でもサマエルさまいらっしゃらないの…-

『メフィストさん不在なんですか?』

「ソレ、兄上に用事なんですか?」


眷属ではなk熾天使(セラフィム)の言葉が分からないアマイモンだったが、彩乃の言葉で内容を読み取っていた彼はメフィストは今学園に居ないと言った


「祓魔師の会議か任務かなんかでしょう
出直した方が良いですよ」

-サマエルさまにつたえるようにルシフェルさまにいわれたの…-


彩乃は窓の外に見える赤く染まった空に目を向ける


『でももうすぐ暗くなりますし…
あ、代わりにアマイモンさんに伝えて頂くのはどうですか?
アマイモンさんはメフィストさんの連絡先知っていますよね?』

「ハイ?知ってます」

『メフィストさんにメールで伝えて頂けませんか?』

「…彩乃が言うなら仕方なくですね」


小さく溜め息を吐き、了承したアマイモン
熾天使(セラフィム)の通訳は彩乃がして、メールをアマイモンが送ることになった
だが…


「…メール打つの苦手です」

『…わたしが打ちますね』


漢字変換出来ない上に誤字が目立つアマイモンのメールに彩乃が打ち直してあげることになった


-ルシフェルさまが、えりくさーのけんきゅうでーたはあさってよういできるよていですので、彩乃さまにあいにくるついでにわたしますっていってたの-

『ルシフェルさん、来るんですか?』


メールを打ちながら訪問の連絡に彩乃が尋ねる


-ルシフェルさまが彩乃さまにあいたがってたの!-


まずい
ルシフェルさんが来るまでにメフィストさんと仲直り出来なければイルミナティに連れて行かれるかもしれない

彩乃は内心焦りを覚えながらもメールを送る


-あとルシフェルさまが彩乃さまに、ちをありがとうございますっていってたの!-


渡した小瓶の血はどうやら役に立ったようで、彩乃も少し安心する

伝言と様子見を終えた熾天使(セラフィム)がルシフェルの元へ帰っていくのを見届けながら、彩乃はアマイモンに携帯を返した


「どうかしましたか?」

『いえ…』


なんでもないと言おうとする彩乃をジッと見つめるアマイモン

彩乃は誓いを思い出し、気まずく思いながらも正直に話す


『ルシフェルさんが明後日来るそうです
それまでに出来ればメフィストさんに許して貰えないと恐らく…』

「ルシフェル兄上は彩乃をイルミナティに連れて行くということですね?」

『そうなるかもしれませんね…』


寂しげに呟く彩乃をアマイモンはジッと見つめた

自分の結界で兄が彩乃を見つけられなくなっている

そのせいで仲直りの機会がなくなっているのだ

兄に対しての後悔はないが、そのせいで彩乃が居なくなってしまうのは嫌だった


『でもまぁ一ヶ月ぐらいならイルミナティに行っても問題は無いので、最悪そうなってしまうかもしれませんね』


そうなったら会いに来てくれますか?

彩乃の問い掛けにアマイモンは迷う事なく頷いた


「勿論です
毎日行きます」

『アマイモンさん
ありがとうございます』







2017/05/17

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