青エク/治癒姫
□自分を省みないキミへ
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咄嗟のこととはいえ熾天使の魔力を喰った彩乃
けれども転送の分だけと選んで喰べれたことに気が付いた
眷属故かミルキィな味だった熾天使を思い出しながら、選んで喰べることで何か出来ないかを考える
例えば攻撃する分の魔力だけ選んで喰べるとか
体を蝕み朽ち果てさせるあの現象も、選んで魔力を喰べれたら少し改善させることは出来ないだろうか?
『グリーンマンちゃん
ちょっと薬草出してくれる?』
「ニー-いいよ!-」
薬草を出そうとする緑男に触れ、喰べようとする彩乃
だが失敗したのか、緑男のお腹から薬草がどんどん現れる
『ありがとう』
そうすぐには上手くいかないか…
彩乃は小さく溜め息を吐き、立ち上がって外に出ようとする
そんな彩乃を下級悪魔達が慌てて引き止める
「ニーニー-どこいくの!?-」
「ぐるる-そとにでちゃだめだぞ!-」
『え…』
度々外に出るのを引き止める下級悪魔達に彩乃は不審に思いながら、外の空気を吸いに出るだけだからと言うが、緑男が出した植物のツルで元の場所に引っ張り戻された
「シューシュー-外に出してはいけないと王から言い渡された-」
-あなたを守れとアマイモン様に言われたわ
だからここに居てちょうだい-
蛇や山魅にもそう言われ、彩乃は怒っていたアマイモンが自分を守ろうとしてくれているのに驚いた
でもいつまでもここに居るわけにもいかない
どうしようと迷っていると、慌てた様子の蝦蟇と緑男がやって来た
「ゲロロ-たすけて!-」
「ニーニー-えくそしすとがっ-」
そう言って傷だらけの蝦蟇や緑男、小鬼や猫又が運ばれてくる
『どうしてこんなに…
どうなってるの?』
手当てをしようととりあえずタオルを床に敷いて寝かせるように指示する彩乃
全員治せるか不安に思いながら、重症な悪魔から順番に治療を始めた
-人間の…祓魔師のせいよ!
最近、何もしてない下級悪魔を甚振る祓魔師が現れてね…
大怪我をしたり、憑依体を壊されて払われてしまうものが後を絶たないの-
「シューシュー-だが我々が人間に迷惑を掛けたわけでもない、奴らはただの憂さ晴らしのために悪魔を甚振るのだ-」
衝撃的な事実に彩乃は青褪めた
そんなことって…
『…このことをメフィストさんは…』
「ニーニー-しってるみたいだけどまだだれかわかんないんだって-」
「ぐるる-おいらたち、あくまだけどこんなのひどいぞ…-」
苦しむ下級悪魔達に、彩乃はとりあえず治療をしなければと手をかざす
だが次々運ばれ、終わりが見えない治療に彩乃は苦しくなるが、治療を止めることはなかった
しばらくしてようやく悪魔達が運び込まれるのも落ち着いてきた頃、彩乃は今にも倒れそうなほど疲労していた
途中から血を使っての治療も行い、彩乃の右手首から手のひらまでズタズタで出血していた
最後の治療が終わった瞬間、ホッと一安心した彩乃は倒れてしまった
緑男や小鬼は倒れた彩乃を草のベッドに運び、右手を治療をする
最近、頻繁に例の祓魔師が現れる
今日だけで彩乃がここまで疲弊してしまったのなら次また現れたら…
下級悪魔達は自分達の王に助けを求めるために飛び出していく
残された小鬼と山魅は彩乃を看病しながら、仲間達が戻ってくるのを待った
2017/05/16
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