青エク/治癒姫

□病弱な儚げ美人は…
1ページ/5ページ





結局一日で容量が大幅に変わるわけもなく、進展がないまま約束の日を迎えた
朝から苦しいぐらい魔力を喰わされ、げんなりとした彩乃は理事長室のソファーに座ってメフィストに尋ねた


『結局わたしは誰を治療するんですか?』

「あぁ、まだ言ってませんでしたね










兄上です」


メフィストの兄
虚無界の最高権力者、光の王ルシフェル

イルミナティという秘密結社の総帥で、彼は確か肉体が朽ちる苦痛のストレスから人間大虐殺を繰り返してる癇癪持ちのお兄ちゃんだったはず…
すっごい儚げ王子系の美人だったのは覚えてるけど…


『メフィストさんのお兄さん…ですか』

「えぇ
私を治したように治してくれれば構いません
私よりも遥かに肉体の劣化は激しいですけれど」


少し動いただけで目から口からと血を流して居た病弱なお兄様なのは知ってる
問題はそこじゃない

あんたら世界巻き込んだガチ喧嘩してたんじゃないのか…
おもちゃ(人間)の取り合いみたいな…


『…とりあえず治療すれば良いんですか?』

「えぇ」

『メフィストさんのは自身の能力で肉体の劣化を最小限に抑えていたから良かったものの、あれ以上に酷いものとなれば一回では治しきれないかもしれませんよ?
それに完璧に治すわけじゃないですし…』


あの血反吐の吐き方だと内臓系も相当痛んでいる
外傷は容易に治せても内臓系となるとまた話は別だ
治せないわけじゃないが、癒しの光が届かない内臓は治療が困難なのだ


「兄上もそれを承知の上ですよ」


それ以上何も言えず、彩乃は黙って来る時を待つ







2017/05/10

次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ