青エク/治癒姫

□能力の欠点
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甘い匂いで目が覚めると…
アマイモンさんが寝ていた


『…』


くるりと振り返ればメフィストさんも寝ていた

どういう状況だよコレ
悪魔サンド
出来ればこの位置には…ってそうじゃない
なんでこんな状況なんだよ…
って途中で記憶が飛んだけれどメフィストさんは治ったの?
完治したの?

恐る恐る彩乃は寝返りをうってメフィストに向き直る
胸元には跡もなく白い肌が見える
けれども確認のためとは言え寝ている人(悪魔)の服を剥ぐのも気が引けた彩乃は手に光を宿してメフィストにかざす
治っていても疲労回復が出来るので無駄にはならないはず…
そう思っていると後ろから手を取られ抱き寄せられた


「おはようございます」

『…っお、おはようございます』


耳元で囁かれ、思わずビクッと体を震わせる彩乃をぎゅっと抱き締めるアマイモン
すると頭上から叱責の声が掛けられた


「コラ、アマイモン
邪魔をするな」

「昨日は兄上ばかりでした
ズルいです
ボクだって彩乃と遊びたいです」


ギュッと力を込められ、少し苦しくなった彩乃は僅かに声を漏らし、気付いたアマイモンは腕の力を抜くがメフィストが怒って部屋から追い出してしまった


「ったく…
人間がすぐ壊れてしまうといつも言っているのに…っと
それよりも彩乃、ご気分は如何ですか?」

『だい、じょうぶです…』


メフィストが自分の名を呼び捨てしている事に少し驚きつつも彩乃はメフィストの体を気遣う


『わたし…記憶がブッツリと切れて分からないんですけど…
ちゃんと治せましたか?』

「ええ、もうバッチリですよ!
お陰で体が軽いです
ありがとうございます」

『いえ…
お役に立ててよかったです』


ホッと安心する彩乃だったがふとある事に疑問を抱く


『あの、今日は…何日ですか?
わたし、治療してからどれだけ寝てましたか?』

「どれだけって…一晩しか経ってませんよ?
疲れていたようで、夜中に起きる事なく朝まで眠っていた様ですが」


よく眠っていましたねと言うメフィストに彩乃は首を傾げた
こんなに体が軽いのも気掛かりなのだが、それよりも眠っていた時間がおかしい


『あれだけのものを治したのに…一晩、ですか?
いつもなら…』

「どういう事です?」


尋ねるメフィストに彩乃は正直に答えた
彩乃の治癒能力には欠点があり、体力の消費や疲労感が桁違いなのだ
小さな傷でも酷く消耗する
だが今回は体が腐って朽ち果て壊死しているのを元の健康な状態に戻したのだ
軽く一週間程寝込んでもおかしくない


『目が覚めてからも体が軽いですし、ホブゴブリンちゃん達を治しても平気でしたし…
この世界に来た影響でしょうか?』

「…そうかもしれませんね
とりあえずしばらくは様子を見てみましょう」


私の魔力をあれだけ喰らえばそりゃ元気のはずだ
だが彼女はそれに気付いていないようだ

それにしても昨日初めて魔力を喰った筈なのに今までは平気だったのは少し引っ掛かる
…様子を見るしかないか







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2017/05/08

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