青エク/治癒姫

□検査結果
1ページ/4ページ





「戻りましたね二人とも
良い買い物は出来ましたか?」

『ありがとうございます
時間は掛かると思いますが、絶対お返しします』

「いえ、返済は結構ですよ
どうせ大した額ではありませんし
それよりも部屋の内装についてご相談があるのですが…」


彩乃の腰に腕を回して扉がある壁まで連れて来るメフィスト
その途中に好きな色を尋ねられ、彩乃は素直に黒と答える


「黒だけでは少し重いので、他の色もお願いいたします」

『他の色ですか?
シルバーや青、紫色も好きですね』

「とても参考になりました☆
では1(アインス)、2(ツヴァイ)、3(ドライ)☆」


指パッチンと共に扉からピンクの煙が出て来る
そしてメフィストの手で開けられた扉の先には黒をメインとした家具がある広い部屋が広がっていた


「貴女の部屋ですよ
バスルームやお手洗い、キッチンも付いていますので不自由はないでしょう
何か足りないものがあれば言って下さい」


とても彩乃好みの部屋で、彩乃は感動のあまり声が出なかった
だがすぐにメフィストへと向き直り深く頭を下げた


『あ、ありがとうございます!
もうなんてお礼を言えばいいか…
本当にありがとうございます!』

「いえいえ、この程度なんでもないですよ
今日買った物の整理などもあるでしょうし、夕食まで自由にして下さって結構ですよ
何かあればこちらに来て頂ければ」


見てみれば部屋の出入り口は今居る理事長室に繋がる扉だけのようだ
見知らぬ不審者である自覚はあるから文句は無い彩乃はもう一度礼を言って部屋に入る
閉められた扉に彩乃は背を向け、早速買ってきた物の整理を行う

大体はまず洗濯するつもりなのだが、いつ乾くか分からないため、二、三組はそのままクローゼットにしまう
残りは洗濯したいのだが、洗濯機などが見当たらない

とりあえず脱衣場にあったカゴに服を入れ、メフィストに聞いてみようと扉をノックする
返事があったので扉を開けてみれば、彼は執務机に座っていた


『あの…洗濯場を教えて頂きたいんですが…』

「あぁ、それなら脱衣場のカゴに入れておけば使用人が回収しますよ
急ぎでしょうし、明日には終わるようにさせますのでご安心を」


居候なのに使用人の手を煩わせるのは気が引けた彩乃だったが、整理が終わったのならお茶でも如何ですか?と尋ねるメフィストに彩乃は断れず、とりあえずカゴを元の場所に戻して理事長室に向かう


「ミルクティーがお好きなんだとか
アッサムでよろしいですか?」


既に用意していたのか、メフィストは執務机でなく机の前に置いてあるソファーに座っていた
アマイモンも同じく座っており、彼は既にお菓子を食べている


『はい
ありがとうございます』


メフィストの向かいのソファーにアマイモンが座っており、自分はどこに座ろうかと迷っていると、アマイモンが自分の隣を叩く

ここに座れということだろうか?

小さくお隣失礼しますと言って、アマイモンの隣に座る彩乃
メフィストはそれを見て彩乃の前にティーカップを置いた


「すみません、失礼ですがご年齢は?」

『…15です』

「失礼しました
ここが正十字学園と言ったことは覚えていますか?」


メフィストの言葉に頷いた彩乃にメフィストは指パッチンをして正十字学園のパンフレットを出した


「三ヶ月後に高等部に入学して頂きます
丁度入学式もありますしね
ですが一応ここは進学校ですので、それまでは勉強して頂く必要があります
あと悪魔が見えるようですので祓魔塾の方にも入塾して頂きますね
そちらの方の教材も学校の教材と共に部屋に置いておきましたので」


悪魔が見える以外にも学校に入学ということは、原作前なのだろうか?
あの双子と同い年だからと私を利用する気なのだろう
でも彼は藤本獅郎が死ぬ事を知っていたのか?
藤本獅郎が死ななければあの子はこの学校には来なかったはずだ

人間をオモチャにしか見ていないこの悪魔が友人と呼んでいた藤本獅郎
この悪魔が自分の楽しみを、お気に入りのオモチャをむざむざと見殺しにするだろうか?

それすらもこの悪魔のシナリオの内なのか…分からない


「よろしいですか?」

『…はい』


なんにしても
わたしに選択肢はない







2017/05/03

次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ