殺生丸夢

□第四話
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この世界に来てもう半月程
野宿生活にも大分慣れた

邪見さんはなんだかんだ言いつつ沢山のことを教えてくれた
未だ殺生丸様のお役に立てているか分からないが、食料調達も大分上達したと思う

ずっと殺生丸様が宛もなく旅をしていると思っていた私だったが、旅の目的がある事を邪見さんから教えられる


「お主…何も知らず殺生丸様について行っとったのか?」
「殺生丸様がそういう事を一々喋ると思っているんですか?
邪見さんから教えて頂いていないことは私は知らないって思って下さいよ」


それもそうか…と納得してしまう邪見は腕を組んで神妙に頷いた


「殺生丸様は父君の形見であり、一振りで百の敵をなぎ倒すと言われる妖刀“鉄砕牙”を探しておる」
「てっさいが?」


それにしても随分と強力な力を持つ妖刀が形見なのか…
物騒だな


「鉄砕牙は父君の牙から研ぎ出した刀と聞いておる
すなわちこれを手にするということは、父君の妖力を受け継ぐも同じ…」


なるほどと頷く桃花
だがふと気になって邪見に尋ねる


「殺生丸様のお父上という事は…犬の牙の刀ってことですか?」
「そうじゃ」
「一振で百の敵をなぎ倒す力を持つ妖刀が殺生丸様のお父上の牙から作られたの?」
「そうじゃ
それがなんじゃ?」
「どんな妖怪だったんですか…
そんな強大な力を持つ化け犬妖怪が存在していて、しかもその息子が殺生丸様だなんて…」


強いとは思っていたけど、殺生丸様は想像以上の大妖怪だったのか…


「当たり前じゃ!
殺生丸様の父君は西国を治めていた大妖怪であらせられるのだぞ!
そこらの妖怪と一緒にするでない!!」


一国を治めていた大妖怪
元羽衣狐として通ずるものを感じる…


「殺生丸様はそのお父上の牙を…強大な力を継ごうと探していらっしゃるのですね」
「そうじゃ
鉄砕牙は、父君の骸の胎内に納められていると聞いておる
じゃが中々父君の墓場が見つからんでのぉ…」
「遺言は無かったんですか?
わざわざ墓荒らしなんかせず普通に譲って貰えなかっただなんて…」
「うぐ…それは…」


何やら訳ありか…

桃花は口ごもる邪見に目を細め、殺生丸様が望むなら叶えて差し上げたいですねと微笑み、話を無理矢理終わらせた

仕えてはいるがお家騒動に興味は無い
何やら訳ありだが私が仕えるにあたって関係ない話だ
殺生丸様が欲しいから探すのなら、私はその形見探しの旅について行くだけ…
殺生丸様に付き従うのみだ




2019/08/16
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