狐を被る〜or小説

□第11話
1ページ/3ページ

*朱雀*




四聖獣も残るは一匹

一同は桑原の案内の元、迷宮城の中を走っていた

ぼたんからの通信で幽助の幼馴染が狙われている事を知り、幽助は焦っていた


『ゆ、ゆうすけ…』


焦る幽助は勿論のこと、桑原も知らないが桃花は一番重症を負っている

痛みに耐えながら怒りで我を忘れる幽助を追う事は辛くもあったが、桃花は蔵馬の手助けを断って足を動かす

そして最後の塔が目前となった時、塔の両サイドにある穴から緑色の人形の何かがぞろぞろと出てきて幽助達の侵入を阻む


「な、なんだこいつらぁ!?」


人の形をしているが敵意や意思をまるで感じられないそれらは養殖人間という術者の命令に服従する操り人形だった


「なんちゅー数だ!
いちいち倒してたら時間がいくらあっても足りねーぞ!!」

「奴らを倒して突破するのはかなり手間ですよ」

「痛みも恐怖も感じない
ゾンビみたいな奴らだからな」


蔵馬と飛影の言葉に桃花は養殖人間が出てきている穴を見る

あそこを塞げば…


「奴らのアタマの朱雀って奴ぁ、とことん性格ワリーぜ!
このままじゃ雪村がやべーぞ!!」

「くそ、面倒くせー!!
俺のショットガン式霊丸百連発でコナゴナにしてやらぁ!!」


焦れた幽子が構えを取るが、慌てて蔵馬が幽助を引き止める


「冷静に!!
無駄に霊力は使わないで!
焦ったら朱雀の思うツボですよ!!」

「だがそうして突破するしか方法ねーだろ!!」


言い合う二人の前に桃花が立つ


「羽衣!?」
「羽衣さん!?」

『ごちゃごちゃうるさいのよ
こうすればいいんでしょう!』


そう言って桃花は幽助と同じ構えを取り、ショットガンを放つ

一気に数を減らす養殖人間だったが、それ以上の数が出てきて意味がなかった


「キミは…妖怪じゃなかったのか?」

『…』


妖力と霊力を合わせ持つ事は不可能だ

なぜなら、全くの正反対のものだからだ

だが目の前の彼女は…

蔵馬の視線から逃げ、桃花は幽助に向き直る


『幽助、キリがない
他の手を…』

「オレに名案がある」


飛影の言葉に一同が振り返った

そして…


『はぁっ!!』


桃花がショットガンを放つと同時に桑原が走り出す


「いいかぁ、浦飯ィ!
ぶっつけ本番だから!!」

「任せてとけィ!!」


桃花が養殖人間をブッ飛ばし、場所を空けるとそこに桑原が仁王立ちした

そんな桑原の肩に蔵馬が立ち、蔵馬の肩に飛影が立つ

そして三人の背を踏み台にして幽助が塔の窓に向かって飛んだ


「うおりゃあぁ!!!!」


飛影の策は成功し、窓に届いた幽助は四人に振り返る


「桑原!蔵馬!飛影!羽衣!
サンキュー!!
戻ったら奢ってやらぁ!!!!」

「死ぬんじゃねーぞ!!」

『すぐに行くから!!』


桑原と桃花の声援を受け、幽助は塔の中へと入って行く


「テメェらは…
俺が相手になってやらぁ!!」


養殖人間に殴り掛かる桑原を合図に、蔵馬は薔薇の鞭で、飛影は剣で養殖人間と戦い始める

そして桃花も…


『霊光弾!』


養殖人間を大量に吹き飛ばす桃花

だがやはり二つの穴からぞろぞろと出てくるのを見て、桃花は目を細める

そして…


「羽衣さん!?」
「羽衣ちゃん!?」
「オイ!」


走り出した桃花に三人が気付く

飛び上がった桃花がマントの下からある物を取り出し大きく振りかぶる


『二尾の鉄扇!』


己よりも遥かに大きい鉄扇を振り下ろす桃花

鉄扇は養殖人間と共に穴を破壊する

そのまま桃花はもう一つの穴も薙ぎ払って破壊する

これでもう養殖人間が増える事はない

桃花はそのまま地に降り立つと三人を置いて塔の中へ入って行く


「チックショー置いてかれちまった!」

「だが彼女のお陰でコイツらはこれ以上増えなくなったようだ」

「さっさと片付けるぞ!」


先に行った桃花を追い掛ける為に三人も残りの養殖人間を倒す

そして先に行っていた桃花は…


『こっちもか…』


階段の上から降りてくる養殖人間に舌打ちしつつ、彼らが居ない事をいい事に尾を出した


『そこを通しなさい!』


10本の尾と鉄扇を駆使しながら先を急ぐ桃花

なぜこんなに自分は必死になるのか

そればかりを考えながら目の前の敵を薙ぎ払う




2018/03/12

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ