狐を被る〜or小説

□第6話
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*裏切りの門*




巨大なドクロのデザインの入り口に辿り着いた五人は出口の見えない暗闇に思わず足を止める


「ここが入り口か」

「やけに長いトンネルみてーな門だな」

「トンネルの様に出口があれば良いのですが…」


幽助、桑原、蔵馬が順に入り口を見て感想を述べる


「虎穴に入らずんば虎子をえーず
前進あるのみ!!」

「フン、竹を割ったような無策だな」

「あんだとこのチビ!」


飛影と桑原はソリが合わない様子で、桃花は二人のやり取りに思わず苦笑いをこぼす

二人の仲の悪さに幽助も痺れを切らしたのか、行くぞと言って先を進む

何もない暗闇

だが霊感を働かせれば感じる事も少なくない

桃花はこのトンネルの天井に何かあるのに気付いたが、それが何かまでは分からず、警戒しつつも先を進む

しばらく歩いているとようやく出口に出るのか、光が見えた

その時、彼らの前に翼の生えた一つ目な妖怪がパタパタと羽音を鳴らして現れた


「ようこそ、迷宮城へ」

「しゃ、喋った…」

「この城に入らんとする者達は裏切りの門の審判を受けなければなりません」

「審判だぁ!?」


一つ目の使い魔は、訝しむ幽助達を横目に見ながら徐に壁にあったレバーを引く

レバーが引かれたと同時に地響きがなり、機械が動き出した音を桃花の耳が拾う


「テメェ、なにした!?」


桑原が一つ目の使い魔に凄むが、その横で蔵馬が何かに気付く


「ハッ、なに!?」


ガラガラと音が鳴ると共にトンネルの天井が迫って来た

走って出るにも間に合わず、咄嗟に天井を受け止めてしまう五人

だがその重さは計り知れないもので、到底支え切れるレベルのものではなかった


「どうです?
重いでしょう
その門は大変敏感で頭がいいのです
性格は悪いですが…
支えている者の力を読み取り、ギリギリで耐え得る重さで重圧をかけます
そう、全精力で支えて下さい
一人でも力を抜けばペシャンといきますよ
ペシャンとね」


誰もが動けないまさに絶対絶命の状態

しかも少しでも気を抜けば仲間を道連れにしてしまう


「一人が裏切って逃げようとすれば残りの者は全て潰されますし、お互いを信頼し合ったままだといずれ力尽きて全員潰れて死にます
裏切り者だけがこの城に入る資格があるのです
あなた方のお好きな方をどちらでもどうぞ」


愉快そうに笑う使い魔

このままでは全員潰されてしまう


「く、くそったれが…!
ふざけやがって…!」


だが全員の限界もそう遠くない

特に桃花は元々力が無いため、肉体的にも精神的にも負荷が大きい


『ぅ、ぐ…』


ギシギシの不吉な音が鳴る腕と肩に桃花の視界が歪む

霊力なり妖力なりを利用して力をカバーしたいが桃花にはそれが出来なかった

だが尾を出してもこの状況を打開出来るとは思えない桃花はこんな状況なのに言い合いをする飛影と桑原に舌打ちしたくなる

そんな余力があるならちゃんと支えてくれ…

その時、幽助が何かに気付いて飛影の名を呼ぶ


「奴の傍にあるレバーを引き上げてくれ!
この中で一番素早いのは飛影、おめーだ!!」

「バカヤロ浦飯、血迷ったのか!?
お前が行け!!
どーもオレはそいついけ好かん!!」


桃花は最良の判断だと思うも桑原からは批判が飛び、飛影自身も渋った


「…そこの潰れた顔の奴の言う通りだ」

「つぶ…誰がだコラァ!!」

「オレなんかを信用して良いのか?
オレは、お前を倒そうとした男だぞ
そのままずらかるかもしれないぜ…」


こんな状況なのに憎まれ口を叩く飛影に痺れを切らした桃花はもう一つ手があると提案する




2018/03/02

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