狐を被る〜or小説

□第3話
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*狐との融解*




「桃花、あんたは年頃の娘なんだ
オシャレの一つや二つぐらいおし」


そう言われて屋敷を放り出された桃花は幻海に渡された財布を片手にショッピングに行くことになった


『妖気で服を作れるんだからそれでいいじゃん…
便利だしお金掛からないし丈夫なのに…』


年頃の娘にあるまじき言動の桃花の幻海は流石にダメだと思っての強硬手段だったのだ


---10セットは買ってこないと屋敷に入れないからそのつもりで居るんだよ!---


幻海からのノルマを思い出してげんなりしながら桃花は当てもなく大通りを歩いていた


『そんなに服なんて買ったことないよ…
羽衣狐の時だってセーラー服だったし…』


溜め息を吐きながら桃花は適当に店に入ろうかと迷っていると妖気を感じた

その妖気の根源を探ると、ロングコートを着込んだ怪しげな人物に辿り着く

桃花は気になって後を追うと、裏路地にもう一つ人影がある事に気付いた


『あの人は…』


桃花はその人影に見覚えがあった

確かめようと身を乗り出した瞬間、追いかけていた方の人物が真っ二つになって桃花は紫色の血を浴びてしまった


「あ…」

『…あ〜ぁ』


追い掛けてた方はやっぱり妖怪だったか…

桃花は真っ二つになってしまった妖怪を見て嫌に冷静に考えていた

桃花が冷静だったのは駆け寄ってきた人物の方が慌てていたせいもあった


「大丈夫ですか?
えっと…」


鮮やかな赤い髪に綺麗なエメラルドグリーンの瞳の彼はメインのキャラクターの一人でもある蔵馬だった

桃花はどうしようかと悩みながらとりあえずハンカチで服を拭うが、勿論意味を成すわけもなく


「服…弁償します」

『…いえ、大丈夫です
黒い服ですしとりあえずは目立たないでしょう』


蔵馬は人に見られた事実と妖怪が見える桃花を怪しんでどうしようかと悩み、桃花は予想外にも主人公組との接触に戸惑っていた

とりあえず逃げるが勝ちと桃花はその場を後にしようとするが、蔵馬が逃す訳もなく


「何かお詫びを…
目立たないとはいえその服はもう着れないと思いますし、せめてお茶でも…」

『気にしないで下さい
好奇心でこんな所に来た私の責任なので』


言い逃げしようにも蔵馬に腕を掴まれ、桃花は逃げられなかった

振り返れば整ったその(かんばせ)で威圧感のある笑みを浮かべる蔵馬

拒否権は無いと感じた桃花は頬を引き攣らせる

結局桃花は蔵馬によって近くの喫茶店に連れて行かれる事になった




2018/02/26

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