青エク/治癒姫

□すれ違う心
2ページ/3ページ





メフィスト邸の屋根の上
アマイモンは噴水の縁に座る彩乃をジッと見つめていた


「アマイモン」

「…ルシフェル兄上」


アマイモンの背後にルシフェルが現れ、声を掛けた
普段は無表情の弟が顔をしかめるのを横目に、ルシフェルは彩乃を見やる


「拗ねるのも程々にしなさい
彼女は一人で抱え込む癖があるのです」

「…それは記憶を見ての情報ですか?」

「でなければお前の方がよく知っているでしょう?
彼女はずっとバケモノと呼ばれ、蔑まれて生きてきた
ずっと一人で、ずっと孤独でした
全て自分でなんとかしなければどうしようもない日々を送ってきたのです」


ガリッ

彩乃の事を語るルシフェルに苛立ち、アマイモンは飴を噛み砕く
ルシフェルはそんな弟にすぐには難しいかと判断し、帰ろうと踵を返す


「ルシフェル兄上」

「なんですか?」

「彩乃に何と言って契約させたんですか?」


彩乃が契約を受け入れた要因
アマイモンはそれを知りたがった


「ある人間を保護するという約束です」

「…ありがとうございます」


熾天使と共に消えたルシフェルを見送りもせず、アマイモンは彩乃を見つめ続けた

人間なんかのために…
彩乃は何を考えているのでしょうか?
分からない…
彩乃が契約をする程の人間とはいったい…







2017/05/14

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ