求愛の宴

□残されたもの
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船の動きで出航した事はわかった

医務室のベッドに腰掛けながら、窓の外に広がる海を見つめる

夕日に照らされ、赤く染まる海はとても綺麗で、出来れば甲板から眺めたかった

いつまで動いてはいけないのだろうか…

確かに体力は落ちているようで、目覚めたばかりで動いたせいか体が怠かった

そういえば…

この世界ではあの忌まわしい力は使えるのだろうか?

ふと浮かび上がった疑問にリオはベッドサイドにあるチェストに置かれた水差しを見つめた

水差しには入った水は一瞬で凍りついた

そして次の瞬間、一瞬で蒸発してしまった

空っぽの水差しにリオは小さく溜め息を吐きながら、また水差しに水が溜まるのを見た


『これは変わらないのね…』


忌まわしい能力

あってもなくても死ぬことには変わりないが…

出来ればあって欲しくなかったのが本音だ

グラリと視界が揺れる

やはり体調が良くないのだろう

リオはそのままベッドに横になった


『死にたい…』


なぜわたしから全てを奪ったのに

この力だけは残したのだろうか…

残して欲しくなかった

唯一残されたものがわたしを絶望に落としたものという現実に苦しく思いながら

揺れる視界がどんどんブラックアウトしていくのを無抵抗に味わう

そして完全に意識が途絶えた時

また一筋

リオから熱を奪いながら涙が流る







管理人へのやる気スイッチ

2017/04/09

 

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