colorful*world
□02 シアワセの定義
1ページ/7ページ
出社して身の周りを整えると直ぐに、私はPCで全社イントラネットのスケジュール表を開いた。
"茅ヶ崎"を検索して個人スケジュールを開くと、午前は外出先に直行となっていたが、午後は社内に戻ってくるようだった。
「……でも、自分から話しかけにいくのも…厳しい相手だよね…」
社内での彼の人気を思うと、人前でプライベートな話を持ち掛けるのは難しい。
かと言って社内メールで業務外の事を聞くのもどうだろう。
彼がうちの部署に来るのを待って話しかけたとしても、同僚の視線が気になる…
悩んだ末に、私は結局社内メールを送ることにした。
『昨日は慌てて帰ってしまってごめんなさい。貰ったフライヤーのことで質問があります。
監督の立花いづみさんって、20代半ばくらいの女性かな?もしかしたら私の知り合いかもしれなくて。
お時間あるときにお返事頂けたら嬉しいです。』
と、簡単なメールを送る。
すると、その後すぐに、
『昼前には社に戻るのでランチ行きますか。近くに美味くて穴場のイタリアンあるんで。
場所はココ。時間はちょっとフライングして貰って11:45でよろ』
という、これもまた簡単なメールが届く。
あぁそうか。
営業さんたちは携帯にメール転送されるんだっけ。
「…『よろ』って、なんか、最近の若者だなぁ…茅ヶ崎くんぽくない語尾だ。あ、急いで返信してくれたからかな」
そんなことを考えていると、ちょうど先輩が席に戻るところが視界に映る。
私は席を立ち、先輩に少し小声になって声をかけた。
「あ、先輩、私今日ちょっとお昼早めに席外しますね」
「うん、いいよー。締めもないし余裕でしょ」
「ありがとうございます」
そうして私は午前中の間業務に没頭した。
.