白昼夢

□青の霧
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「よ、っと」

久しぶりに感じる浮遊感。最後に感じたのが数ヶ月前だったせいかどこか慣れない。それでも開放されたような気がして、己のテンションが上がっているのが分かる。

「真面目に体重増やさないといけない気がするんだが…」

若干風に流されているような気がする。ビルの屋上に着地したと同時に地面を蹴って宙へ舞った。

「風に煽られているんじゃあ危険ですよ」
「うっせぇ」

隣から聞き覚えのある声がしたと思って見ると、友人以上知り合い未満の奴がいた。特殊能力を使っているようで人間の姿ではないが、うざったい笑い方をしているから丸わかりである。

「テメェ珍しいな。こんな夜中に空中散歩かよ」
「少し嫌な噂を耳にしましてね。君の耳にも入っているとは思いますが一応報告に」
「はぁ?テメェ俺に協力しろとでも言いに来たか」
「よくお分かりで。高校では頭が悪いように細工をしているようですが、頭の良さが丸見えですよ」

テメェだから見せてんだよバカか、とまた跳んで嗤う。なぜ君が元一般人なのか理解できませんよ、と奴は呆れたように呟いた。

「動いてもいいけどよ。いちおー俺は学生だぜ?学業優先だろ」
「それを言ったら僕も学生ですけどね。データ分析をしてくれるだけでいいです。潰すのは僕がやります。データ収集は」
「テメェの部下にやらせとけ。少しは経験を積まなきゃこれからやっていけねぇだろ」

目的地に到着したので止まって奴を見る。奴はいつものように不気味な笑い声をあげていた。

「では頼みますよ……クー・フーリン」
「俺は早くに死ぬつもりなんてねぇよマフィア潰し」
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