Re:αメンバーの日常
02/20(Thu) 10:42
明星さん誕生日小説2020
るい(元あいか)
ママは、しろくて、おおきくて、あたたかい。
つみきは、かたくて、つるつる。
さんかくのつみきをママにみせる。
「ママ、このつみき、いま、なにいろ?」
「うーんとね……お外が暗くて、蛍光灯しか当たってないから、冷たくてパキッとした赤色」
「つめたくて、ぱきっとしたあかいろ」
ちかづけたり、とおざけたりして、よくみておぼえた。
たいようさんがいないと、みんな、どこかよそよそしいの。
カァー、カァー。まどのそとからきこえてくる。
「ママ、カラスさんのこえは、なにいろ?」
「カラスさんのこえ? そうだねぇ、夕焼けの赤色かな」
「ゆうやけ、きれいだねぇ」
このおとは、ゆうやけのいろ。
カァー。カァー。めをとじて、みみをすませば、いちめんあかいろになる。
ガチャリ。あかいろのなかにまじったドアのひらくおと。
パパがかえってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえり、パパ」
パパはママよりおおきい。いろは、あおっぽいはいいろ。ねずみいろっていうんだって。
パパはいつものかばんと、はんたいのてに、しろいはこをもっていた。
「ケーキ買ってきたぞ。誕生日ケーキ」
はっぴばーすでーとぅーゆー、はっぴばーすでーとぅーゆー。
やみのなかで、ロウソクのひが、きらきらしている。
はっぴばーすでーでぃあ、ほしちゃーん。はっぴばーすでーとぅーゆー。
おおきくいきをすった。ふうせんみたいに、からだがグングンふくらむ。てんじょうにくっついてしまうぎりぎりまで、がんばってすって、すって……いきおいよくふきだした。
あっ、こんなにふいたら、ケーキがつぶれちゃうかも。
「まだ一本、火がついてるよ」
「がんばって、星ちゃん」
ああ、よかった。ケーキはもとのまま。でもあんなにふいたのに、けしきれなかったの?
こんどはしんちょうに、ロウソクにむけてフッといきをふきかけた。
ぱちぱちぱちぱち。はくしゅのおとがはじける。
たのしいおと。このおとはどんないろ?
「誕生日おめでとう」
「おめでとう」
「おめで
アラームがけたたましく空気を切り裂いた。
慣れない音に視界がパッと赤く染まる。猫のように全身の毛が逆立った。
慌てて時計に手を伸ばす。アラームの音で手も切りつけられた。
「……っ」
痛みに顔をしかめながら、乱暴にアラームを止める。これだから目覚まし時計は嫌いなんだ。
ぱっくりと傷口を広げた右手に、そっと左手をかぶせる。大丈夫、痛くない。痛くない。
左手をどかすと、右手の傷は跡形もなく消え去った。
ようやく張り詰めていた空気が弛緩し、目を白黒させていた家具たちも落ち着きを取り戻した。
さて、のんびりもしてられない。目覚ましをかけたということは、今日は用事がある日ということ。
ちーくんが迎えに来てくれる前に、朝ごはんを食べて、身支度を整えなくちゃ。
そういえば、懐かしい夢を見ていた気がしたんだけど、どんな夢だったっけ。
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