Re:αメンバーの日常
06/05(Wed) 23:47
ちあほし小話
るい(元あいか)
![](./img/spacer.gif)
明星さんが千秋くんのことを「ちーくん」と呼ぶようになってからのちょっとしたお話。
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鏡の中で靄のような影が蠢いている。
私の見た目って、どんなだっけ?
今日は気分転換に、Re:αのスペースで絵を描いていた。ふと、思い立って自画像を描いてみようとしたけれど、うまくいかない。描けば描くほど、私から遠ざかっていく気がした。
一度、洗面所の鏡を見てみようと思った。
なんとなく結果は想像できてた。
私の頭の中のように、鏡に映る姿はぐるぐるだった。
絶えずよろめき続ける影を前に、記憶を掘り起こし、特徴を挙げていく。
髪は薄い水色で、目は深い青色。
鏡の影が形を取り、色彩を帯びる。
童顔で、あと、いつも眠そう……
しゅるしゅると、影は人の顔を作り上げた。
それはどうにも、ちぐはぐで、作り物めいている。違和感を感じた途端、鏡の中の女は崩れ、また元の、靄のような影になった。
どうしようか。
鏡の前で首を捻っていると、ちーくんがたまたま通りかかった。今日は髪の部分がチューリップになってる。可愛い。
「ねぇ、私の見た目って、どんな感じ?」
「え?」
ちーくんはきょとんとして、少し考える。
チューリップの花弁がゆらゆらと揺れた。
「花で例えるなら、ネモフィラかな」
「ねも、ふぃら?」
「そう。草丈10センチから20センチの可憐な花だよ。花の形は桜に似てるんだけど、薄い青色をしてるんだ」
楽しそうに、すらすら話すちーくん。やっぱりお花、好きなんだな。
「雰囲気ぴったりだと思うよ、明星さん小柄だし。端正な顔立ちで、すごく綺麗だけどかわい、い……」
言葉は段々と尻すぼみになった。
交わされていた視線は、どちらからともなく下に逃げてしまう。
ちーくんの言葉が胸の中をくすぐる。
普段そんなこと言わないくせに、ずるい。
お互い顔を真っ赤に染めて、気まずいような、恥ずかしいような。
ふと鏡を見ると、靄はすっかり晴れて一人の姿が映っていた。
端正な顔立ちで、すごく綺麗だけど可愛い女の子が、それはそれは、幸せそうな顔をしていたのだった。
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