ライツうさ

□過保護な彼ら
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待ちに待った休日。
電車の改札口は多くの人に溢れていた。人の波に流されながら漸く改札口から抜け出したうさぎはひとつため息をつくと少し皺の寄ってしまったスカートを撫でる。
買い物でも行こう、と最近買ったフリルのついた可愛いワンピースを着て普段おだんごにしている髪に金木犀の髪飾りを着けてオシャレをしたのに電車でもみくちゃにされて、少しだけテンションが下がってしまった。

細い手首に着けられた腕時計が差す時刻は午後2時07分。そういえば朝から何も食べていなかったな、とうさぎは駅周辺にある店を見渡した。


う「何食べようかなぁ…。」


ハンバーガーにたこ焼き、定食屋にクレープ屋。他にも色々な店の看板が見えて迷ってしまう。うさぎが悩んでいると後ろから肩を叩かれる。
振り返ると金髪の男が笑顔でうさぎを見ていた。
知り合いだろうか、と記憶を探るが当てはまる人物がおらずうさぎは困惑しながら首を傾げる。


「君すっごい可愛いね。誰かと待ち合わせ?」


にこやかに笑いかけてくる男にうさぎはパチパチと大きな目を瞬かせる。
所謂ナンパなのだが、うさぎはナンパされたことがない。だから今自分がどういう状況にいるのかわかっていないため、男の質問に正直に答えてしまった。


う「いえ、一人です。買い物をしようと思って…。」

「そうなんだ。良かったら俺と遊ばない?おススメの店とか紹介するし。」

う「え、でも…」

「君すごく可愛いから仲良くなりたいんだ。ねえ、だめ?」


じりじりと距離を縮めてくる男にうさぎは戸惑いを隠せない。
見知らぬ男に可愛い可愛いと言われてお世辞と分かっていてもどう返せばいいのか分からずに困ってしまう。
男の手がうさぎの手首を掴もうと伸ばされるよりも先に、違う誰かに腕を引かれて体制を崩したうさぎは後ろへ倒れこむ。
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