ライツうさ

□うさぎの味
1ページ/3ページ

彼女は甘えることがとてつもなく苦手、というか下手だ。

いや、俺らの前になると甘えてくれない。俺らの生活が学業と仕事で忙しいのを知っているからなのか、我が儘も言わない。

学校に行くと、彼女が時々寂しそうにするのを俺らは気づいていた。
そういう時は決まって彼女の傍には愛野達が心配そうにして慰めている。するとうさぎは少し嬉しそうに笑って「大丈夫、大丈夫」、て平常心を装っていた。その行動を今まで何度見てきたことか。それを見るたびに俺らはたまらない気持ちになる。


可愛い彼女が甘えてくれない。
我儘を言ってくれない。
イコール、自分たちは彼女の中でそういうことができる対象じゃないのだとたどり着いて、彼氏として自信をなくし頭を抱えるのだ。
いつだって可愛い彼女のことで頭がいっぱいなのに、こんなに好きなのにどうして分からないんだ、と思わずため息をついてしまうほど。


毎日どうやってこの甘え下手な可愛い彼女を甘やかしてやろうかと思案する俺らは彼女から甘えられることを一度諦め、とことん甘やかすことにした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ