大うさ
□現実で会えたら
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大「……えぇ。すみません…お願いします。」
星野との電話を切ると、大気はまた枕に顔を埋めた。
病欠の間、どうしても頼まなければならない仕事のことを星野に肩代わりしてもらうことになったのだ。
地球に来てこんなに体調を崩したのは初めてで、高熱からの悪寒と頭痛に今は耐えることしかできない。
汗ばんだ重たい身体を動かして仰向けになると、いつもと同じ天井が自分を見下ろしていた。
大「……地球のウイルスはキツいですね;」
キンモク星人の大気には地球のウイルスの免疫力が弱い。
今まで病気しなかった事の方が不思議だ。
仕事を休むのも今日で3日目。
病院も一応行ったが薬が合わないのか良くなる気配がない。
ここまで自分一人では何もできない状態が情けなかった。
ブーッブーッ
っと携帯が鳴り画面を見るとうさぎからメールが入った。
大(…うさぎ…さん)
『大気さん、体調はどうですか?』
そのひと言だけだったが、弱ってるせいか彼女からメールがきたと言う事が何より嬉しかった。
震える手で何とか文章を返した。
大「うさぎ……」
両目を閉じて、今ここにはいない彼女の名前を口にしてみる。
身体も心も辛いのに、うさぎの笑顔を思い出すだけで自ずと気持ちが楽になってくるから不思議だ。
大気はそのままうとうとし、やがて意識を手放した。