大うさ

□甘えられる場所
1ページ/2ページ

放課後、家に帰ろうと少し肌寒い廊下を一人歩いていたうさぎ。
ふと視線を窓の外に向けると、顔は分からないが他の男子生徒とは違う制服を着た人物が木を背凭れに座ってる姿が見えた。

あの制服を着ているのは彼らしか居ない。うさぎはその人の元へ急ぎ足で向かう。
きっと彼処に居るのは彼かな?
いつも休み時間になると、あの木を背凭れに本を読んでるか眠っている銀髪に近い長い白髪の彼。

後ろからそっと近づき覗いてみるとそこに居たのは白髪の彼ではなかった。


う(あっ…大気さん‼)

そこに居たのは栗色の長髪を一つで束ねた大気だった。
ここ最近仕事が忙しいらしく1日学校に居たのも1ヶ月ぶり。
疲れているのか参考書を広げたまま眠っている。


(ちょっと痩せた?)っとうさぎは大気の横に座り、そっと顔に手を添えた。
大気の顔はひんやりと冷たい。
いつまでも寝かせていると風邪を引きかねない。
うさぎは大気の肩に手を置き揺すった。


う「大気さん、起きて⁉風邪引いちゃうよ」


それでも大気は起きない。
余程疲れているのだろう…。
だがこのままにしておく訳にもいかず肩を揺すり声をかけ続けた。


う「大気さん‼起きて!大気さん‼」

すると、力の入ってない大気の体がうさぎの胸にポスッと寄りかかる。


う「っ‼‼//////」


いっこうに起きる様子のない大気。
うさぎの胸元では規則正しい大気の寝息が聞こえる。
この状況をどうしようかと途方に暮れているとうさぎの携帯が鳴った。


う「もしもし」

星「あ、おだんご?大気知らない?携帯繋がらないし、晩飯大気居ないと俺ら困るんだよな;」

う「大気さんなら…」


大気は学業と仕事も抱えてそれでいて星野と夜天の身の回りの世話も大気がやっている。

…ちょっとは休みたいよね…。

う「ごめんね、あたし分かんないや、うん、じゃあね」


電話を切ると携帯を下に置き大気の体が冷えない様に包み込んだ。


う(これなら少しは違うよね)


空は茜色に染まりグラウンドに居た生徒ももう姿はない。
校内に残っているのも先生だけだろうか。
気温も徐々に低くなっている。
だけど不思議と寒さは感じなかった。
それはきっと、彼を抱き締めている自分の体温が上昇しているから。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ