夜うさ
□今日のキスは…?
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(・・・暇)
そう思いながら、夜天はテレビを眺めていた。
内容は頭に入っていないらしく、ボーッとした表情からそれが伺える。
現在夜天はうさぎと共に、留守番の最中だった。
大気と星野は一緒に買い物に出掛けている。
時計に目をやっても過ぎた時間はほんの30分、帰ってくるのはまだまだ先であろう。
うさぎは星野達が出掛ける少し前に、眠りについていた。
もちろん、夜天がうさぎを一人にする事など出来るはずもない。
こうして時間を持て余すのを予想できていたとしても、夜天は家に残る選択しかなかったのだ。
チャンネルを一巡させてみても、興味を引かれる番組は無い。
うさぎが起きるのを期待しているが、部屋から出てくる気配は全く無かった。
「はぁ…。」…夜天は溜め息を吐いて、テレビの前にあるテーブルに置かれた飴玉の袋を手に取る。
袋には飴玉の種類が幾つか表記されており夜天は一瞬迷って、中身からオレンジ色の飴玉が入った小さな袋を取り出した。
その色から、オレンジ味の飴玉である事が容易に想像できる。
夜天はその袋を開け、飴玉を口に放り込んだ。
夜(様子でも見てこようかな…寝顔を眺めるのも悪くないし…。)
口の中で飴玉を転がしながら、夜天は変態じみた思考を頭に巡らす。
そう考えていると、ガチャっと扉が開く音が聞こえてきた。
そこに顔を向ければ、眠たそうに目を擦るうさぎの姿があった。
う「…や、てんくん」
夜「おはよう」
笑顔で返事を返す夜天の隣にうさぎは座り、小さく欠伸をする。
目に浮かぶ涙を指で拭いながらうさぎは「星野達は?」っと夜天に尋ねた。
夜「買い物に行ったよ。帰りは、もう少し遅くなると思う……食べる?」
そう答えながら、夜天は飴玉の袋を差し出す。
うさぎはそれを黙って受け取り、中身からお目当ての味を探った。
う「…あれぇ、オレンジないのかぁ」
探していた味が既に無かったらしく、うさぎは不満そうな声で言った。
夜天は気まずそうな顔をしながら、うさぎに告げる。
夜天「…ごめん。最後の一個、僕が食べちゃったみたい;」
苦笑いを浮かべる夜天に「いいよ、いいよ」っと手を振り、再び袋を探って別の飴玉を取り出した。
色からしてそれはメロン味らしく、小袋を開けて飴玉を口に入れる。
う「甘くて美味しいね♪」
飴玉を舐めながらそう言ったうさぎを見て、夜天は安心しつつも驚いていた。
食べ物になると五月蠅いうさぎの事だから「なんで食べちゃうのー‼」っときゃーきゃー言われるかと思ったからだ。
美味しそうに飴玉を転がすうさぎ。
そんなうさぎを見ながら退屈していたのもあってか、夜天は何かを思い付いたようだ。
夜「…ねぇ、うさぎ」
夜天はゆっくりとうさぎに近づいて、互いの距離をつめた。
うさぎは飴玉を舐めながらも相変わらず眠たそうな様子で、呼ばれた方に顔を向ける。
いつものうさぎならば、彼の不適の笑みの意味が分かっただろう。
夜「飴、交換する?」
う「え…?」
そう言われたうさぎが疑問の声を上げようとするのを、夜天は自分の唇でそれを阻止した。
突然の事にうさぎは何が起きたの理解できていなかったが、顔はみるみる赤く染まった。
う「〜〜っ!!?//////」
慌てて引き離そうとしたが、そのまま夜天に押し倒されてしまう。
うさぎは身体を動かして抵抗を試みても、うまい具合に拘束されているようで殆ど効果はなかった。
そんなうさぎをよそに、夜天は舌を彼女の口内に侵入させる。
う「んんっ…」
暫く口内を刺激して、夜天はうさぎの反応を楽しんだ。
その後に舌を器用に使って自分の飴をうさぎの口内に運び、うさぎの飴を自分の口内に運ぶ。
夜天が口を離すと、二人の間に銀色の糸が伸びる。
うさぎを見れば彼女の口からは漏れた唾液が顎まで伝い、顔は羞恥心からか真っ赤になっていた。
目には涙を浮かべ、それを見た夜天は満足そうな笑顔をうさぎに向ける。
夜「どう?オレンジ味のキスは?」
う「〜〜!!//////」
口許に人差し指をあてウインクして見せる夜天。すっかり眠気の覚めたうさぎは、口許を手で隠しながら夜天から視線を反らす。
その顔は先程より更に染まり、耳まで真っ赤。
夜天は上機嫌な様子で、うさぎから貰った飴玉を転がす。
夜「留守番して正解だったかな」
う「え?」
夜「朝からうさぎとキス出来たから」
う「……夜天くんのエッチ//////」
うさぎは顔を染めながら、ふてくされた様に呟く。
夜天は組敷いた彼女を見ながら、呆れたように言った。
夜「キスなんて何度もしてるでしょ;」
う「そぅ…だけど…//////」
夜「嫌だった?」
う「……ぃやじゃ…ない//////」
その言葉を聞いて上にいる夜天の顔がみるみる笑顔になり、素直に答えてしまったうさぎの顔はますます赤く染まる。
うさぎは顔を背けて照れ隠しからか、飴玉をガリガリと音を立てて噛み砕いた。
夜「もっとゆっくり味わえばいいのに」
う「うぅ…//////」
夜天は笑いながら、うさぎの上から退いた。
少しやり過ぎかなと思いお詫びにココアでも淹れてあげようと夜天は、座っていたソファから立ち上がり台所へと足を向ける。
たがその進行は、後ろから服を引っ張られた事で中断された。
後ろを振り向けば座り込んだうさぎが、顔を下に向けながら右手で服を掴んでいた。
表情を伺う事は出来ないが、服を掴む手は僅かに震えている。
う「………って」
夜「…え?」
うさぎが何かを呟いたようだが、その声が小さく夜天には聞き取れなかった。
それをうさぎは察してか、振り絞る様に言葉を繰り返す。
う「…部屋に連れてって」
夜「部屋って…さっき降りてきたばっかりなのに?」
夜天がそう言うのも無理はない。
彼女が部屋からここに来てまだ30分も経ってないのだ。
疑問の色を浮かべる彼に、うさぎは恥ずかしそうに言った。
う「…か、ら」
夜「…?」
う「恥ずかしいから!さっきの夜天くんのキスで//////」
顔を上げて大声でそう叫んだうさぎに、夜天の目は点になった。
だがうさぎは形振り構わず、大声で言葉を続ける。
う「だからっ!こんな顔星野達に見られたくないから部屋に行きたいの!」
夜「なら一人で行ったら?」
う「動けないの!夜天くんのせいで!」
夜「……へぇ」
う「…うっ;」
夜天はうさぎの方へ体を向かせ不適な笑みを浮かべながら顔を近づけてきた。
「そんなに良かったんだ?僕のキス」と囁かれ、恥ずかしさでうさぎの顔はこれ以上ない程に赤くなり、強く閉じられた目に涙を浮かべて身体を震わせていた。
それを見た夜天はクスッと喉を鳴らす。
夜「…うさぎ…可愛すぎるよ」
う「〜〜〜っ!!!//////」
てっきり笑われるかと思っていたうさぎにとっては、その言葉は予想外過ぎたらしい。
赤くなった顔で声も出せず、口をパクパクさせる事しか出来なかった。
夜「クスッ…部屋に連れてけばいいの?」
コクリと頷いたうさぎに夜天は笑顔でゆっくりと近寄る。
うさぎの肩に背中から腕を回して手を置き、もう片方の手を太ももに添えて抱き上げた。
夜天は口の飴玉を転がしながら、うさぎを抱えて階段を登ってた。
うさぎ専用の部屋に入った夜天は、抱き抱えているうさぎを静かにベッドに降ろす。
う「…ありがとう」
そうお礼を告げたうさぎに、夜天は優しい笑顔を向けながら言った。
夜「いいよ。こうなったのも僕のせいだしね」
う「…その割には、悪いと思ってないでしょ?」
夜「うん、悪い事したつもりないし」
当たり前の様に答える目の前の彼にうさぎは溜め息をもらした。
実際うさぎも驚きはしたが、嫌ではなかったのも事実である。
夜「ところでさ、うさぎ」
う「…何?;」
甘い声で呼び掛ける彼に、うさぎは嫌な予感しかしなかった。
気が付けば先程の様に、組敷かれ身動きを封じられている。
夜「僕を部屋に連れ込んだって事は…そういう意味でいいんだよね?」
う「……そういう意味って?;」
うさぎが答えてる間に夜天は彼女の服のボタンを二つ外した。
服を広げ、露になった鎖骨に舌を這わせる。
う「ちょっ…やっ!?」
訴えようとするうさぎを無視し、夜天は舌を這わせた部分に唇を当てる。
唇を離せばそこに、赤く小さく腫れ上がったキスマークが残った。
う「や、夜天くんっ!…ちょ、ぁ…待ってってばぁ…っ!」
声を絞り出して、制止を促すうさぎ。
夜天はそこで愛撫を止め、彼女の目を見つめた。
夜「…嫌?」
う「い、嫌とかじゃなくて…////」
吐息を荒くしながら、必死に言葉を続ける。
この状況から逃れる為にうさぎは、今までに無いくらいに思考を巡らせた。
う「ま、まだ外も明るいし…ほら!星野達もそろそろ帰ってくるかもしれないし…ね?」
すると夜天はポケットからスマホを取り出し何処かに電話をかけ始めた。
夜「もしもし大気?今どこ?……うん、じゃあさぁ、ロイヤルスイートのショートケーキをうさぎが食べたいって言ってるから買ってきてもらえる?……うん、うん…ありがと、じゃ。」
電話を切るとベッドの上に放り投げた。
そして意地悪な顔を浮かべる。
う「………夜天…くん?;」
夜「ロイヤルスイートはここから一時間掛かるからまだまだ帰ってこないね」
う「えっ…!;あのっ、やて…んっ!」
夜天はうさぎに何か言われる前に口を塞ぐ。
まだ夜天の口の中で小さく残っていたメロン味の飴玉をうさぎの口の中へ押し込む。
舌で押し込まれた飴玉は口の奥へ入り込みそのままゴクリと飲み込んでしまった。
一旦離れた夜天はうさぎの耳元に顔を近づけ静かに、甘く囁いた。
夜「美味しかった?」
う「〜〜//////」
夜天からはうさぎの表情は見えないが彼には彼女が、どんな表情をしているのか容易に想像できた。
うさぎは星野達が帰ってくるまで、夜天に美味しく頂かれた…。