星うさ
□恋人不足
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大「うさぎさん、私は明日も早いので、お先に寝ますね。」
う「はい。」
大「うさぎさんも夜更かしはそこそこにして寝てくださいね?」
う「あ、はい、…おやすみなさい」
あたしが歯切れ悪くそう返すと、大気さんは溜息をつきながらもそれ以上何も言わなかった。
リビングには、もうあたし以外誰も居ない。
さっきまで夜天くんがあたしの横でTVを見ていたけれど、その夜天くんも自分の部屋に戻ってしまった。
時刻はもうすぐ夜の12時になろうとしている。
だけど、星野はまだ帰ってきていない。
人気アイドルスリーライツのリーダーとあって、いろんなところから声を掛けてもらってすごく活躍しているのはあたしもすごく嬉しい。
TVや雑誌でいっぱい星野が見られるから。
だけどその分とても忙しくなって、星野の顔を1週間はまともに見ていない。
恋人…なのに。
それに、星野はどんな事にも全力だから、仕事のし過ぎで倒れたりしちゃったらあたしが耐えられない。
だからせめて、帰ってきたら大気さんの作ってくれたご飯を温めて星野に食べてもらいたいし、疲れを癒してあげたいと思ってこうして待っているけど一向に帰ってくる気配がない。
う「…まだ来ないの…?…星野」
ちら、とソファに置いていた雑誌に目をやる。
前は漫画以外の本ってあまり買わなかった。
表紙がスリーライツだったこともあって、気付けばレジでお金を払っていたアイドル雑誌。
衝動的にそんな雑誌を買ってしまうくらいに自分には星野が不足してるのかと思うと苦笑が漏れてしまったけれど…。
1度は読んだ雑誌をもう一度開く。
カメラに向かってキリッとした顔で写る三人。
三人とも、やっぱりすごくかっこいいと思う。
だけどあたしが一番好きなのは、星野。
雑誌の中身もかっこいい三人や可愛い三人がいっぱい詰まっている。
三人で話してじゃれあっているところをふいに撮られたのかと思うけど、やっぱり三人は仲良しで、楽しそうにしてる星野が素敵だと思う。
時計を見るといつの間にか夜中の12時を越えていた。
幸い明日は土曜日で学校は休み。
星野が帰ってくるまで、もう少し粘ってみよう。