2017 Request Stories
□仲間を守るために敵と契約して敵の海賊団に入ってしまいそれを助けに行く仲間達。
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「……来ちまったなァ」
「あぁ」
料理人は、ため息をこぼした。剣士も隣で欠伸しながら頷く。偉大なる航路の問題の島、毒ガス島。辺りには毒のスモッグが覆い、妙な雰囲気を漂わせている。それは死ぬことはないにせよ吸えば吸うほど人を苦しめ、一日に一回薬を飲まなければ立っていられない状態になるのだという。
「記録はいくらかわからねぇ」
「……それまでに薬見つけねぇと、全滅か」
「……ナミ」
剣士と料理人が一瞥した航海士の側には、船長と船医と狙撃手がいた。航海士は少し体を重たげに、ベッドに横たわっていた。考古学者は静かに甲板で本を読んでいる。毒ガス島の歴史、という本。それには記録については書いてないらしかった。
「……大丈夫。少し寝かせて」
「わかった!無理すんなよ!」
船長の言葉にふっと笑って、航海士は瞳を閉じる。その様子を狙撃手は不安そうに見つめた。
「多分本島についちまったら、もっと気分が」
「その通りよ、長鼻君」
考古学者がぱらりと本をめくった。
「一番普通なナミだけが症状を起こしているもの」
「確かに……」
狙撃手はぶるりと体を震わせた。残りの一味はまともじゃないのかと言うツッコミは飲み込んで。
「元はといえばおれがこの薬切らしたのがいげないんだ」
「……いちいちお前を責めるなよ」
「今何ができるか考えろ」
落ち込み涙をこぼす船医を料理人と剣士が叱咤する。船医は解毒薬の作り方を知っていた。だが、それは特殊な薬草が必要な上、この偉大なる航路ではあまりみない病気だったので薬を準備してなかったのだという。
「そーだぞ、チョッパー」
船長はまっすぐに船医の肩をつかんで見つめ。
「お前がしっかりしねぇと、誰も助からねぇ!!」
揺らして、真剣にいった。船医はぐすりと涙をこぼして頷いた。
「なぁ」
料理人はそんな彼らの様子を見て煙草をぱくりとくわえる。
「部屋の中のが、ガスあんま吸わなくてすむよな」
「お、おう。そりゃな」
「じゃあ、一人が薬探しして、残りは待機のがいいな」
かちりと火をつけて煙を味わいながら、料理人は静かにいった。他の一味は顔を見合わせる。
「チョッパーは、砦だ。ナミさんは病気。だったら残りから誰かいくしかねぇ」
「……お前がいきてぇだけだろ」
「あぁ、そうだよ」
料理人はさらりと剣士の嫌みに答えた。
「おれァガスの中だって平気だ。だから、おれがいく」
「おれの方が平気だ。だったらおれがいく。大人しく病人食でもつくってろ」
「んだと!!」
「ダメだ、サンジ、ゾロ」
船長はきっぱりとそれを遮った。
「おれがいく」
「……バカ。お前は」
「一番残らきゃいけねぇやつだろ」
これには料理人と剣士の両方から反論が来る。船長はむすっと顔を歪めて返そうとしたが。
「ま、まてよ!!お、おれだっているぞ!!」
「……ウソップ」
「お、おれは、たとえたおれても問題なんて」
「バカ言うな!!倒れていい奴なんてーー」
彼らは目を点にした。ふわり、と彼らの目の前に翳されたのは割り箸。五本分用意してある。
「ロビン」
「くじにしたわ。あと一本は私の分よ」
「ロビンちゃんダメだよ!!君は」
「コックさん、私はこういう場にはなれてる。気を使わなくていいわ」
考古学者はきっぱりと料理人の気遣いの言葉を遮った。船長は頷き、割り箸に手を伸ばす。残りの二人も。そして、料理人も。
「……残ったのが、ロビンだな」
「えぇ」
「誰が引いてもな」
船長はぐるりと一味を見渡して、まっすぐくじをつかむ。
「欠けていいなんて、思うなよ!」
「……わかった」
「えぇ」
彼らは船長の言葉に頷き、息を飲んでからくじを引き上げた。
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