紫星天の琴音(toz夢)
□流星のノクターン
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−−−−−−スレイside−−−−−−
「アリーシャ見て!! ここがイズチの里!
俺の故郷!」
スレイが大きく両手を広げる。
「・・・?」
首を傾げるアリーシャ。
彼女はアリーシャ・ディフダ。
鎧をまとった花飾りが印象的な少女だ。
彼女はなぜか遺跡の中で倒れていたのだ。
アリーシャがキョロキョロと辺りを見渡す。
しかしあるのはスレイの家らしき建物のみで、
他には何も見えない。
ただ美しい草原が広がるのみだ。
「えっと・・・スレイ、申し訳ない。
私にはよくわからないよ…」
アリーシャが困ったように微笑む。
「スレイ。彼女には僕らの姿は見えてないんだ。
それは建物も同じだよ」
ミクリオが囁く。
「えー・・・でも・・・」
スレイが小声で呟く。
とりあえず物は試しだ!!
とでも言いたそうに口を尖らせている。
ミクリオは、そんなスレイを尻目に歩き出した。
「・・・まあ、とりあえず僕は、
ジイジに人間を連れてきたことを言いに行くから。」
それだけを言い残して、ミクリオはその場をあとにした。
ジイジにまた怒られるのかも。
そう思うと、自然と顔がひきつる。
…仕方ないかな。あの時許しちゃった僕の責任でもあるし。
ミクリオは、どこまでも続く青い空に向かって大きく伸びをし、
里の奥にあるジイジの家へと歩き出した。