Short Novel
□風邪
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私は気が付くと、いつも視界の中央には朱があって、それに気付いた時に慌てて、その朱から眼を反らしていた。
「はぁ・・・」
ここ一週間で数えきれない位の溜め息をついた。それでもやっぱり溜め息は止まらない。
私は高校に入学して、一つ年上のルークと初めて出会った。
兄さんは彼の家庭教師だった。そのことは兄さんから一度も聞いたことはなかったし、彼が私を知っていた訳でもない。
そんな彼と話すきっかけになったのは、彼の親友であるガイの家に行ったときだった。
ガイと兄さんは知り合いで、ガイにとって大事なもの―ある宝石が埋め込まれた刀のようなもの―を、忙しい兄さんの代わりに私が届けに行った。
ガイの家に行った時、偶然その場にルークもいた。彼は学校内でも髪を朱に染め(地毛なんだけど)非常に目立つため、私も入学して一ヶ月しか経っていなかったけど知っていた。
その時に私はガイの家に上がってそこでガイから説明があった。
ガイはルークを親友と呼んでいた。それだけ仲が良いということだろう。