Short Novel
□ED後 ルーク編 1
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満月の夜に、いつもは静かな渓谷に「歌」が響き渡っていた。
歌っている少女−ティアは夜にしか咲かない花−セレニアの花が辺り一面咲き誇っている場所にある小岩に腰掛けていた。
その歌は、2年前まで共に旅をした少年−ルークに向かって歌われていた。
ティアはルークと最後に約束をした場所…ホドが一望できる、この彼と初めて話をしたタタル渓谷で、彼の帰りを待っていた。約束を果たすために・・・
やがて歌い終え、渓谷にいつもの静けさが戻った時、ティアの後ろから声が聞こえた。
「よろしかったの?」
ティアが振り返る。そこには2年前まで共に旅をした4人がいた。
「公爵家で行われるルークの成人の儀に、あなたも呼ばれていたのでしょう?」
キムラスカ王女−ナタリアが正装のまま、ここに来ていた。ルークの成人の儀にはその立場上出席しなければならないが、途中で抜け出してきたのだろう。
「ルークのお墓の前で行われる式に、興味はないもの・・・・・」
「二人とも、そう思ったからここに来たんでしょう?」
「あいつは帰ってくるって言ったんだ。墓前に語りかけるなんてお断りってことさ!」
結局みんなルークの帰りを待っていた