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□潜入セヨ!6
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 気付いたら曲が終わっていた。
「あ、あの、なんで俺を伴奏に指名したか、伺っても、いいですか?」
今ならいいかな、って気になっていたことを聞く。土浦自身、合わせたことのない、一等演奏が上手いと言うわけでもない自分を伴奏に指名するメリットがさっぱりわからなかった。
「貴様は天宮と違って感情豊かに弾くからな。天宮よりステージでの伴奏者に近い。それだけだ」
そうか、それだけか。虚しくはなるが、この王者がたったそれだけの理由で自分を選んでくれたのは嬉しかった。
 この学園は、確かに優秀な音楽家が選び抜いた素晴らしい奏者が集まっているが、この冥加をはじめとする一部のずば抜けた生徒が圧倒的に引導していることが大きいと土浦は考察している。少数の王者がぐいぐいと下の者を引っ張り上げている。
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